ニュース速報

ワールド

アングル:米弾劾公聴会、今週TV中継へ 両党攻防の争点は

2019年11月13日(水)07時59分

11月8日、トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る下院の弾劾調査は、13日と15日の公聴会がテレビ中継され、これまで非公開だった証言の様子が衆目にさらされる。ワシントンの下院内にある公聴会の会場で6日撮影(2019年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン 8日 ロイター] - トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る下院の弾劾調査は、13日と15日の公聴会がテレビ中継され、これまで非公開だった証言の様子が衆目にさらされる。下院情報委員会のアダム・シフ委員長(民主党)は「米国民が自分自身で証言について判断する機会になる」と述べた。

今回のTV中継公聴会の主な論点をまとめた。

<民主党の狙い>

トランプ氏には職権を乱用し、ウクライナに対して、来年の米大統領選で民主党の候補となっているバイデン前副大統領の息子が関与した汚職の疑いを調査するよう圧力を掛けたとの疑惑がある。民主党はTV中継公聴会を通じて、この疑惑を裏付ける証言を公にし、大統領弾劾に向けて国民から幅広い支持を獲得したい考えだ。

民主党は、トランプ政権がウクライナに首脳会談の可能性をちらつかせてトランプ氏の要求に応じさせようとしたことを裏付ける証拠を手に入れたいと考えている。同政権の高官がウクライナへの軍事支援を遅らせ、トランプ氏の私的弁護士ジュリアーニ元ニューヨーク市長の手を借りた経緯も取りざたされている。

トランプ氏は疑惑を全面否定している。

<民主党の戦略>

民主党はトランプ氏とジュリアーニ氏に関して既に非公開の場で証言している証人の外交官3人を召喚した。質問するのは下院情報委員会のシフ委員長とデビン・ニューネス委員(共和党)を含む議員や委員会スタッフの弁護士ら。

民主党は証人3人に対して、トランプ氏とゼレンスキー大統領が電話で会談した7月25日前後の出来事について見解を尋ねる。

ホワイトハウスが公表した簡単な電話会談記録によると、トランプ氏はゼレンスキー氏に対して、来年の米大統領選で民主党の候補となっているバイデン前副大統領を巡る醜聞などについて調査するよう求めた。

民主党はトランプ氏が一部証人の公聴会への出席を妨げたり、調査への協力を拒否するなど司法妨害を行った点についても今回の公聴会で明らかにしようとする見通しだ。

<証言を行う証人>

証人3人のうち最も重要度が高いとみられるのがウィリアム・テーラー駐ウクライナ代理大使。テーラー氏は政治的な理由からウクライナ向けの軍事支援や首脳会談が遅らされたことに驚愕した。下院調査委が公表した文書によると、テーラーは今年初め「政治運動に絡んで安全保障上の支援を保留するのは常軌を逸している」と書いた。テーラー氏は13日に証言する。

ジョージ・ケント国務次官補代理も13日に証言する。ケント氏は非公開の証言で、ジュリアーニ元市長などがウクライナにトランプ氏の要求を飲ませようと圧力を掛けていることに危機感を持ったと述べた。

マリー・ヨバノビッチ元駐ウクライナ大使は15日に証言する。ヨバノビッチ氏はジュリアーニ元市長に攻撃された後、ポストを追われたと述べている。

民主党が追加の証人を発表する可能性もある。

共和党は独自に証人の召喚を求める意向で、ウクライナを巡るトランプ氏の対応に不満を抱いて内部告発し、弾劾調査のきっかけとなった政府当局者などが対象になりそうだ。

民主党は共和党の証人召喚要請に対して拒否権を発動できる。

<共和党の対応>

共和党は民主党が主導する弾劾調査は党派行動だと主張しており、証言そのものに疑義を生じさせ、証人から民主党の狙いとは異なるストーリーを引き出そうとするだろう。

共和党は8日、TV中継公聴会に備えて強力なトランプ支持派の1人であるジム・ジョーダン下院議員を下院調査委に異動すると発表した。

共和党は既に民主党が召喚した証人に対する攻撃を展開しており、ヨバノビッチ氏の駐ウクライナ大使罷免は枝葉の問題であり、重大な事柄に関する他の証人の証言内容は概ね何人もの人を挟んだ伝聞にすぎないと主張している。

また共和党は、ウクライナ当局者は7月にトランプ氏から協力を求められるまで3億9100万ドルの軍事援助の実施が遅らされていることを知ることもなく、圧力を感じていなかったとの論陣も張る見通しだ。

共和党は、ウクライナ側はトランプ氏が求めた調査を発表せず、ゼレンスキー大統領はトランプ氏からの圧力を感じなかったと述べている、とも主張している。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、ガザで武装勢力4人殺害 農民も射殺

ワールド

エア・カナダがキューバ便運休、ジェット燃料の入手難

ビジネス

武田薬品、米AI企業と17億ドルで提携 医薬品開発

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、ハイテク株や主力株高い
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 4
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 5
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 9
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 10
    【銘柄】なぜ?「サイゼリヤ」の株価が上場来高値...…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 9
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中