ニュース速報

ワールド

中国の米農産品購入、市場の状況にも左右される=米NEC委員長

2019年10月18日(金)09時49分

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は17日、米中の「第1段階」の通商合意取りまとめに向け弾みがついており、来月チリで開催するアジア太平洋経済協力会議首脳会議で署名される可能性があると語った。ワシントンで9月撮影(2019年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン 17日 ロイター] - カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は17日、米中の「第1段階」の通商合意に含まれている400億─500億ドル相当の米農産品購入という中国側の「真剣な約束」について、最終的な購入額は民間企業や市場の状況にある程度左右されるとの見方を示した。

中国が農産品の購入額を保証したのかという記者の質問に対し「政府が指針を示しても、大部分は民間企業によって行われている。つまり市場の価格は変動する可能性があり、天候も変化する。ブタの深刻な感染症の問題もあった。それでもなお、非常に真剣な約束だ」と指摘した。

米農産品に関する非関税障壁や中国市場へのアクセスを阻む基準については、中国が譲歩することに期待感を示した。

カドロー委員長はCNBCとのインタビューで、通商協議に弾みがついており、11月もチリで開催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、第1段階の合意が署名される可能性があると述べていた。

また、強制的な技術移転を巡る問題は「第2段階」でカバーされる必要があると語った。

第1段階の合意について、トランプ大統領は16日、APECで中国の首脳と会うまでは署名しない公算が大きいとの見方を当初、示していたが、その後、マッタレッラ伊大統領との記者会見で「チリ(APEC)の前に署名することを望んでいる」と述べた。

カドロー委員長はCNBCとのインタビューで、米連邦準備理事会(FRB)の政策にも言及。FRBは「正しい方向に向かっている」とし、10月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、25ベーシスポイント(bp)の利下げは適切との見通しを示した。

同時に、FRBのスタッフはディープステート(闇の政府)の一部だとの考えを示唆。「FRBのモデルは大いに欠陥がある。闇の政府、つまりFRBスタッフがこれまで役に立っていないのは明白だ」と述べた。

インタビュー後、カドロー氏は記者団に、個人攻撃する意図はなかったとしながらもFRBのモデルは機能していないと改めて指摘した。

カドロー氏は、米国の失業率は3.5%に低下し、FRBが推定する不必要なインフレ高進につながらない持続可能な水準を既に下回っているが、インフレ率は何年も2%を下回って推移してきたと指摘。これは、これまでの景気動向が金融モデルからかい離していることを示していると論じた。

失業率が下がるとインフレ率が高まるという理論上の逆相関関係は、フィリップス曲線と呼ばれるモデルで示されている。

7人のFRB理事の任期は14年と、大統領職(2期8年)よりも長い。FRBは議会に定期的な報告は行っているものの、ホワイトハウスから独立し、雇用の最大化と物価安定の責務を果たすために金融政策を運営している。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米コノコフィリップス、カナダで11月に人員削減=社

ビジネス

売り上げ低迷の米ターゲット、従業員1800人削減へ

ワールド

米、対中通商合意の順守状況を調査へ 追加関税の可能

ビジネス

カナダ、米国製ステランティス・GM車の関税免除を制
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 4
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 10
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中