ニュース速報

ワールド

EU首脳会議、新たな英離脱協定案を承認 英議会可決は不透明

2019年10月18日(金)08時29分

10月17日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のユンケル委員長(写真)は、英国とEUが新たなブレグジット(英国のEU離脱)合意に達したと明らかにした。ブリュッセルで16日撮影(2019年 ロイター/Yves Herman)

[ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)は17日、英国を除く加盟27カ国による首脳会議を開き、英国と同日合意した新たなEU離脱(ブレグジット)協定案を全会一致で承認した。ジョンソン英首相には、議会承認というハードルが残っている。

EU執行機関である欧州委員会のユンケル委員長は首脳会議終了後、合意に至ったことに安堵(あんど)を示したが、英国がEUを離脱することは残念だと述べた。

EUのバルニエ主席交渉官やトゥスク大統領も同様の立場を示し、トゥスク氏は記者団に対し「英国の友人がいつかEUに復帰することを決定すれば、われわれの扉は常に開かれている」と語った。

ジョンソン首相は、英議会が19日の特別審議で離脱案を承認することに自信を示し「この合意を精査すれば、議員は支持することを望むだろう」と述べた。

しかし、ジョンソン政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)は、新たな離脱案に反対する意向を表明。[nL3N2723Y7]

野党・労働党のコービン党首も新たな合意に労働党は不満だと述べ、反対票を投じる考えを示した。[nL3N2722T6]

労働党はこれまでに、新たな離脱案を国民投票にかけることを求めているが、19日に2回目の国民投票に向けた動きを支持するかどうかは、現時点で明らかにしていない。

ジョンソン氏率いる与党は、英下院(定数650)で過半数を割り込んでおり、新たな離脱案を可決するには実質的に少なくとも318の賛成票が必要になる。DUPは10議席を有する。

ドイツ銀行は17日、新たな合意が19日の議会で否決される確率は、55%との見方を示した。[nL3N2723JI]

ジョンソン首相は、自身がまとめた新たな合意か、もしくは合意なき離脱、という厳しい選択を議会に迫り、離脱案の可決に必要な票を確保する狙いのようだ。

ある政府高官は「新たな合意または合意なき離脱であり、延期はない、というのが首相の立場だ」と述べた。

ドイツのメルケル首相は新離脱案について、英国が「第3国」になることが明確になる点が前向きな要素の1つだと指摘した。英国が第3国となれば、EUは英国と早期に自由貿易協定を結ぶことが不可欠になる。

メルケル氏は「メイ氏が首相だったときと本質的に異なる点がある。以前は英国が関税同盟に残るのかどうか、将来の関係が不透明だったが、それがかなり明確になった」と述べた。

アイルランドのバラッカー首相は、EUの結束を強調し「過去数年に見られた(EU諸国の)結束は、英国だけでなく、米国や中国、トルコなどとの将来の交渉への教訓だ」と述べた。

<バックストップを削除>

新たな離脱案では、これまで最大の争点だったアイルランド国境管理を巡る「バックストップ(安全策)」を削除し、英国がEUの一部基準を継続する。英領北アイルランドは英国の関税制度にとどまるが、英本土から北アイルランドを通ってアイルランドやEU内に向かう商品には関税を課す。

ただ、北アイルランドのDUPは新たな合意案の文言は受け入れられないと表明。これを受け、離脱推進派や与党保守党からも承認に反対する動きが出る可能性がある。

DUPは「われわれの見解では、これらの提案は北アイルランドの経済的健全性にとって利益にならない」と表明した。

議会での承認が不透明であることを踏まえると、離脱期限を2週間後に控えた現在も、秩序ある離脱から無秩序離脱、さらには2回目の国民投票まで、さまざまな結果が依然としてあり得る。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、9月は予想に反して小幅増加

ビジネス

アリババ、香港IPOを14日にも開始 134億ドル

ビジネス

英CPI上昇率、10月は前年比1.5% 3年ぶり低

ビジネス

香港キャセイ航空、利益見通しを再び下方修正 反政府

MAGAZINE

特集:世界を操る政策集団 シンクタンク大研究

2019-11・19号(11/12発売)

政治・経済を動かすブレーンか「頭でっかちのお飾り」か、民間政策集団の機能と実力を徹底検証

人気ランキング

  • 1

    文在寅政権の破滅を呼ぶ「憲法違反」疑惑──北朝鮮の漁船員2人を強制送還

  • 2

    香港デモ隊と警察がもう暴力を止められない理由

  • 3

    ヤクルトが韓国で最も成功した日本ブランドになった理由

  • 4

    中国は「祝賀御列の儀」をどう報道したか?

  • 5

    女性の着替えやトイレを監視──入管が組織的セクハラ

  • 6

    日本アニメはネットフリックスを救えるか?

  • 7

    雨が降ると植物はパニック状態になっていた:研究結果

  • 8

    香港の若者が一歩も退かない本当の理由

  • 9

    「バグダディ死亡」共同通信記事の間違った認識

  • 10

    「赤い州」に誕生する民主党知事、「異変」が起きて…

  • 1

    「アメリカは韓国の味方をしない」日韓対立で米高官が圧迫

  • 2

    日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌?

  • 3

    文在寅政権の破滅を呼ぶ「憲法違反」疑惑──北朝鮮の漁船員2人を強制送還

  • 4

    韓国通貨危機の裏側を赤裸々に暴く 『国家が破産する…

  • 5

    母親に育児放棄されたチーターが、犬の「代理きょう…

  • 6

    200万年前の氷が採取されて2年、地球の気候変動に関…

  • 7

    文在寅政権の「自滅」を引き寄せる大統領側近らの忖度

  • 8

    香港デモ隊と警察がもう暴力を止められない理由

  • 9

    ストレス耐性は就学前に決まる? 産業医が見た「スト…

  • 10

    ヤクルトが韓国で最も成功した日本ブランドになった…

  • 1

    韓国は、日本の対韓感情が大きく悪化したことをわかっていない

  • 2

    マクドナルドのハロウィン飾りに私刑のモチーフ?

  • 3

    「アメリカは韓国の味方をしない」日韓対立で米高官が圧迫

  • 4

    意識がある? 培養された「ミニ脳」はすでに倫理の…

  • 5

    インドネシア、巨大ヘビから妻救出した夫、ブタ丸呑み…

  • 6

    「武蔵小杉ざまあ」「ホームレス受け入れ拒否」に見る深…

  • 7

    中国人女性と日本人の初老男性はホテルの客室階に消…

  • 8

    ラグビー場に旭日旗はいらない

  • 9

    性行為を拒絶すると立ち退きも、家主ら告発

  • 10

    アメリカが韓国に「最後通牒」......日本との安保対…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!