ニュース速報

ワールド

英がEU離脱正式通知、メイ首相「後戻りしない」

2017年03月30日(木)06時54分

 3月29日、英国のメイ首相はEU基本条約(リスボン条約)50条を発動し、EUに対して離脱を正式に通知した。離脱通知書簡に署名するメイ首相(2017年 ロイター/Christopher Furlong)

[ロンドン 29日 ロイター] - 英国のメイ首相は29日、欧州連合(EU)基本条約(リスボン条約)50条を発動し、EUに対して離脱を正式に通知した。メイ氏は議会で「50条に基づく離脱手続きが英国民の意向に沿って始まった。英国はEUを離脱する」と表明した。

「これは歴史的な瞬間で、後戻りすることはない」とも語り、向こう2年間の離脱手続きが始まった。

メイ氏はEUのトゥスク大統領側への書簡で、「EU離脱の条件とともに、将来的なパートナーシップの条件についても合意する必要がある」とし、英国がEUと野心的な自由貿易協定の締結を望んでいることを表明した。

「英国が合意なしにEUを離脱すれば、世界貿易機関(WTO)ルールに従って貿易を行うということが基本姿勢となる」とも指摘した。

メイ氏は、経済と安全保障を明確な形で関連付けて、EUと特別な関係を求める意向を示した。

<交渉期間「ひどく短い」との声、行方不透明>

2度の世界大戦を受けた、欧州統一への取り組みに英国の離脱は大きな打撃となる。

EU単一市場へのアクセスや銀行免許のほか、移民などの問題を巡って、交渉は難航が予想される。特に今年はフランスとドイツで選挙を控え、見通しの不透明感は高まっている。

ドイツ外務省は、英国とEUの新たな関係構築に向けた協議は難航するとの見方を示すとともに、原則2年間とされている交渉期間は「ひどく短い」と英国に対して警告した。

ドイツのメルケル首相は、交渉に「公正かつ前向きな」アプローチで臨む姿勢を表明したが、離脱条件が確定するまで将来の関係に関する協議は行わない考えを示した。

メルケル氏は「EU加盟に伴う多くの権利と義務の問題に取り組むべき」と指摘。「その後ようやく、われわれは将来の関係について話し合うことができる」とした。

EUのトゥスク大統領は、英離脱により生じる、加盟国の国民および企業へのコストを最小限にとどめるとの意向を表明した。

48時間以内に他のEU加盟27カ国に、交渉ガイドラインの草案を送付する。27カ国の駐EU大使は今後ブリュッセルで会合を開き、対応を協議する。

英EU離脱手続きについて、欧州議会は取り消し可能との認識を来週採決予定の決議案で示した。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ

ワールド

OPECプラス有志国、8月増産拡大を検討へ 日量5

ワールド

トランプ氏、ウクライナ防衛に「パトリオットミサイル
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    反省の色なし...ライブ中に女性客が乱入、演奏中止に…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中