英CPI、5月は3年ぶり2%目標回帰 基調圧力なお強く
6月19日、英国立統計局(ONS)が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.0%上昇し、4月の2.3%から伸びが鈍化した。写真は昨年5月、ロンドンの食料品店で撮影(2024年 ロイター/Emilie Madi)
David Milliken Suban Abdulla
[ロンドン 19日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が19日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.0%上昇し、4月の2.3%から伸びが鈍化した。約3年ぶりにイングランド銀行(中央銀行)が目標とする2%に戻った。ただ基調的な物価圧力はなお強く、来月の総選挙前の利下げは見込み薄だ。
英国のインフレ率は2022年10月に11.1%と41年ぶりの高水準を記録したが、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻に伴う影響が薄れ鈍化した。
5月のCPIはロイターが集計した市場予想の中央値と一致。4月に実施された家庭用エネルギー料金の引き下げが寄与した。ただその効果は年後半には薄れるとみられ、イングランド銀行はインフレ率は再び上昇すると予想している。
イングランド銀行が中期的なインフレリスクの指標として注目しているサービス価格のインフレ率は5.7%と、4月の5.9%からは低下したが、予想の5.5%は上回った。
イングランド銀行は20日に金利決定を発表する。ロイター調査によると、20日は据え置き予想が大勢で、大半のエコノミストは8月の利下げ開始を予想している。
英産業連盟(CBI)の主席エコノミスト、マーティン・サルトリウス氏も利下げ開始を8月と予想。「政策当局者は、賃金上昇率の高止まりなど、物価上昇圧力の緩和が鈍いことを示す兆候も合わせて、総合インフレ率の低下を見る必要がある」と述べた。
RBCキャピタル・マーケッツの英国シニアエコノミスト、キャサル・ケネディ氏は「サービス・インフレは引き続き上昇傾向で、あす利下げが発表される可能性はなくなった」とみている。
インフレ率の低下は総選挙を来月に控えるスナク首相にとって朗報。だが、世論調査では野党労働党に大きく水をあけられている。
スナク首相は、インフレ鈍化は自身の経済政策が機能している証拠だとし、これまでの進展が労働党のせいで水泡に帰すことがあってはならないと訴えた。