ニュース速報

ビジネス

サービス価格まだ低く、金融政策の変更は時期尚早=中村日銀委員

2022年12月07日(水)16時35分

 12月7日 日銀の中村豊明審議委員は7日、長野県金融経済懇談会後の記者会見で、サービス価格が低い現状では金融政策の変更は時期尚早との見方を示した。写真は日銀本店。2019年1月、都内で撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

[松本市(長野県) 7日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は7日、長野県金融経済懇談会後の記者会見で、サービス価格が低い現状では金融政策の変更は時期尚早との見方を示した。金融政策の検証作業は、正常化の議論の中で行われると述べた。

金融政策の点検・検証の必要性を問われた中村委員は、コストの大部分を人件費が占めるサービス分野の価格の伸びが1%に届いていないことに言及し、「サービス価格がまだ低いので、このタイミングで金融政策の変更をするのは時期尚早だろう」と指摘。政策の点検作業は、正常化に向けた議論の中で行われるとの見通しを示した。

田村直樹審議委員は2日、朝日新聞のインタビューで、日銀の大規模緩和について「しかるべきタイミングで、金融政策の枠組みや物価目標のあり方を含めて点検、検証を行うことが適当」と述べていた。

市場では、日銀総裁交代のタイミングで日銀が異次元の金融緩和を検証し、政策修正に踏み切るのではないかとの思惑が出ている。中村委員は「人事によって金融政策を見直すタイミングが変わると考えたことはない」と指摘した。

中村委員は、金融政策の見直しは「金融と経済の環境変化に応じて考えていくべきものだ」と強調。現在の金融緩和の枠組みも「今は変更すべきではない」とした。

<賃金上昇、春闘後の見極めが重要に>

中村委員は午前のあいさつで、2%の物価目標を持続的・安定的に達成し持続的な経済成長を実現する上では、経済成長とともに賃金も上昇していくことが重要だと語った。

会見では、賃金の持続的な上昇が実現するには時間が「かなりかかるかもしれない」とする一方、経営者の意識の変化や政府の取り組みに期待感を示した。

中村委員は、平均賃金の伸びが1―1.5%程度で推移する中、来年の春闘での賃上げ率が平均賃金を上回りすぎると「賃上げされた分が従業員の貯蓄に回る可能性もけっこう強い」と指摘。企業の賃金構造がどのように変質していくか見極める必要があるとし、「来年の春闘の賃上げ率だけで政策修正するほど単純な話ではないのではないか」と語った。

(和田崇彦 編集:田中志保)

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ自動車生産、11月は前年比11%増 国内向け好

ワールド

英労働市場、求人減少も賃金上昇 中銀にジレンマ

ワールド

スイスの薬価上昇へ、米政権と製薬各社の引き下げ合意

ワールド

ロシア黒海沿岸でウクライナのドローン攻撃、船舶2隻
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中