ニュース速報

ビジネス

NY市場サマリー(23日)ユーロ下落、利回り2週間ぶり低水準 株反発

2022年06月24日(金)07時12分

[23日 ロイター] - <為替> ユーロの下落が目立った。独仏の経済指標が予想を下回り、ユーロ圏経済の伸び悩みを示したことから、欧州中央銀行(ECB)による利上げ幅縮小観測が浮上した。

一方ドルは、主要通貨バスケットに対して上昇。景気後退の見通しが強まる中、安全資産である米国債の需要が高まり、リスク選好が後退した。

S&Pグローバルが23日発表したドイツの6月の購買担当者景気指数(PMI)速報値によると、ドイツ経済は急激に失速した。同じく6月の仏PMI速報値も予想を下回った。

これを受けて金融市場が織り込む7月のECB利上げ幅は、20日の34bp(ベーシスポイント)から約30bpに縮小。年末までの利上げ幅についても、20日の176bpからこの日は161bpに縮小した。

ユーロ/ドルは0.5%下落し1.0509ドル。ユーロ/円も1.4%下落し、141.85円となった。

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の慎重な発言を行ったことが心理的な重しとなり、ユーロが下落、ドルはそれまでの安値から反転しプラス圏に浮上した。

パウエル議長は22日の上院銀行委員会の公聴会で、景気後退は「確かにあり得る」と明言。23日、下院金融サービス委員会の公聴会でも、インフレを抑制するFRBのコミットメントは「無条件」と表明した。

ドル指数は0.3%上昇し、104.48となった。

ドル/円は0.9%下落し134.94円。週初に付けた24年ぶりの高値からさらに後退した。

<債券> 国債利回りが2週間ぶりの低水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げが景気後退を招くという懸念や、利回りの頭打ち感が背景。

BMOキャピタルマーケッツの金利ストラテジスト、ベンジャミン・ジェフリー氏は「景気後退への懸念が強まっている」と指摘。「さらなる懸念を誘う経済指標や雇用の減速が示されれば」、指標10年債利回りが2.5─2.75%のレンジに押し戻される可能性があるという見方を示した。

10年債利回りは3.005%まで低下した後、終盤の取引では3.070%で推移した。

2年債利回りは3.012%。一時、2.876%まで低下した。

2年債と10年債の利回り格差は6bp。14日は一時マイナス5bpと逆転していた。

S&Pグローバルが発表した6月のユーロ圏総合PMI速報値が2021年2月以来の低水準となったことは、債券価格への追い風となった。

米財務省が実施した180億ドルの5年物物価連動国債(TIPS)入札では底堅い需要が見られた。最高落札利回りは0.362%と、入札前取引(WI)の水準を約3bp下回った。応札倍率は2.61倍。

<株式> 反発して取引を終えた。景気後退への懸念が続く中、ディフェンシブ株やハイテク株の上昇が景気敏感株の下落を相殺した。

S&P総合500種はプラス圏とマイナス圏を行き来する展開となったが、引けにかけて上げ足を速めた。米国債利回りが2週間ぶりの水準に低下し、ハイテク株や他の金利に敏感な成長株の追い風となった。

S&P500は先週、週間で2020年3月以来の大幅な下落率を記録。市場ではその後も不安定な取引が続いている。

S&Pグローバルが発表した6月の米総合PMI速報値は51.2に低下し、5カ月ぶりの低水準となった。高いインフレ率と消費者心理の悪化によって全般的に需要が減少した。

この日はディフェンシブセクターが好調で、公益事業、ヘルスケア、不動産が2%以上の上昇となった。

ハイテク株も買われ、マイクロソフトが2.3%、アップルが2.2%、それぞれ上昇した。

一方、エネルギー株は3.8%下落。エクソンモービルが3%安、シェブロンが3.7%安でS&P500の重しとなった。

このほか景気に敏感な素材、工業、金融も下落した。

<金先物> 対ユーロでのドル高を背景に4営業日続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比8.60ドル(0.47%)安の1オンス=1829.80ドルだった。

<米原油先物> 米国の急速な利上げによるリセッション(景気後退)懸念が強まる中、需要減速への警戒感を背景に売りが膨らみ、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比1.92ドル(1.81%)安の1バレル=104.27ドル。9月物は2.41ドル安の101.58ドル。

米エネルギー情報局(EIA)は、テクニカルな事情で、週間在庫統計(17日までの1週間)の発表が来週にずれ込むことを明らかにした。市場予想(ロイター調査、22日午後公表)では、原油在庫が60万バレル減、ガソリン在庫が50万バレル減となったもよう。一方、ディスティレート(留出油)在庫は30万バレルの小幅積み増しと見込まれている。

ドル/円 NY終値 134.93/134.96

始値 135.35

高値 135.64

安値 134.27

ユーロ/ドル NY終値 1.0523/1.0527

始値 1.0503

高値 1.0553

安値 1.0491

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 93*21.50 3.2056%

前営業日終値 93*00.00 3.2420%

10年債(指標銘柄) 17時05分 98*06.00 3.0888%

前営業日終値 97*20.00 3.1560%

5年債(指標銘柄) 17時05分 97*21.00 3.1412%

前営業日終値 97*08.75 3.2270%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*01.38 3.0124%

前営業日終値 98*30.75 3.0560%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 30677.36 +194.23 +0.64

前営業日終値 30483.13

ナスダック総合 11232.19 +179.11 +1.62

前営業日終値 11053.08

S&P総合500種 3795.73 +35.84 +0.95

前営業日終値 3759.89

COMEX金 8月限 1829.8 ‐8.6

前営業日終値 1838.4

COMEX銀 7月限 2104.2 ‐37.9

前営業日終値 2142.1

北海ブレント 8月限 110.05 ‐1.69

前営業日終値 111.74

米WTI先物 8月限 104.27 ‐1.92

前営業日終値 106.19

CRB商品指数 296.6911 ‐7.9620

前営業日終値 304.6531

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナに兵器供与 50日以内の和平

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決

ワールド

トランプ氏、ウクライナにパトリオット供与表明 対ロ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中