ニュース速報

ビジネス

アングル:米株大幅安でも「FRBプット」期待できず、インフレ対応優先

2022年05月23日(月)09時20分

5月20日、 米連邦準備理事会(FRB)は高インフレへの対応で積極的に金利を引き上げると表明しており、米国株が弱気相場入りする中、景気後退(リセッション)への警戒感が高まっている。ニューヨーク証券取引所で3月撮影(2022年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は高インフレへの対応で積極的に金利を引き上げると表明しており、米国株が弱気相場入りする中、景気後退(リセッション)への警戒感が高まっている。

注目されているのは、株価が急落すれば投資家期待に応えてFRBが動くという「FRBプット」。2019年初めに米国株の大幅下落を受けてFRBが利上げサイクルを停止した時にもFRBプットがあった。

一方、FRBは高インフレ抑制に向け必要なだけ利上げを行うと主張、政策当局者は市場のボラティリティーにそれほど配慮しないという見方も出ており、投資家への打撃はより大きくなる可能性がある。

バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチが最近行った調査によると、資産運用担当者は現在、S&P総合500が3529まで下げたらFRBが動くと予想。2月の調査時にこの水準は3700だった。3529という水準は、1月3日終値から26%の下げとなる。

S&P総合500の20日終値は3901.36。場中ベースで今年最高値から既に19%近く下落。弱気相場入りの定義となる下げ(20%安)に近い下げを記録している。

フェデレーテッド・エルメスのチーフ株式ストラテジスト、フィル・オーランド氏は、FRBはより大きな問題を抱えており、それはインフレ対応だと指摘。金融政策が後手に回っていないとFRBが確信するまでFRBプットは期待できないと説明した。

その結果、一部投資家は長期的な株安を見据えて現金の割合を増やしている。バンク・オブ・アメリカ調査によると現金のアロケーション比率は20年ぶり高水準となっている。一方で、テクノロジー関連株の下げを予想する向きは2006年以来の高水準。

S&P総合500は20日、一時大きく下げたが、ほぼ横ばいで終了した。7週連続の下げとなり、2001年以来の最長を記録した。

ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、ジェイソン・イングランド氏は、前例のない金融政策からの支援により株価が2020年3月の安値から2倍以上になったことを踏まえると、FRBが引き締めを減速するには同指数が少なくともあと15%下落する必要があるとの見方を示した。

「FRBはこの先、痛みが伴うことを明確に示している」と述べた。

一方、センチメントが上向いている兆しもある。 投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は高止まりしているものの、これまでの大幅な株安時に記録した水準は下回っている。

ズマ・ウェルスの最高投資責任者(CIO)、Terri Spath氏は、一部の投資家が大幅に下げた銘柄などに買いを入れている可能性があると指摘。「FRBが、最後の買い手として必要でなくなるという兆しが見えている」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国外相、イラン指導者殺害や体制転換の扇動「容認で

ワールド

OPECプラス8カ国、4月に増産開始で合意 イラン

ワールド

イラン首都照準に2日目攻撃、トランプ氏は反撃に警告

ワールド

プーチン氏、ハメネイ師殺害は道徳規範と国際法に違反
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 4
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 5
    【銘柄】「三菱重工業」の株価上昇はどこまで続く...…
  • 6
    米・イスラエルの「イラン攻撃」受け、航空各社が中…
  • 7
    【銘柄】「ファナック」は新時代の主役か...フィジカ…
  • 8
    今度は「グリンダが主人公」...『ウィキッド』後編の…
  • 9
    「高市大勝」に中国人が見せた意外な反応
  • 10
    「何でこんなことするの...」 調子に乗った観光客、…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 7
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中