ニュース速報

ビジネス

米政権、インフラ計画で超党派と合意 民主の二段戦略に共和反発

2021年06月25日(金)10時45分

6月24日、バイデン米大統領は超党派の上院議員らと会合を開き、インフラ投資計画で合意が得られたと明らかにした。写真は2020年3月、ワシントンの国会議事堂(2021年 ロイター/Tom Brenner)

[ワシントン 24日 ロイター] - バイデン米大統領は24日、8年間で1兆2000億ドル規模のインフラ投資計画で超党派の上院議員と合意したと発表した。国内の道路や橋梁などを刷新し、経済活性化を目指す。

バイデン大統領はホワイトハウスで記者団に対し「われわれは合意した」と述べた。だが民主党は、超党派法案に続いて「人的インフラ」への投資法案を単独で可決させることを目指しており、共和党上院トップのマコネル院内総務はこうした二段構えの戦略を強く非難した。

バイデン氏や議会民主党指導部は以前から、在宅医療や保育施設への投資を含む別の法案を超党派案に結び付ける考えを示唆してきた。2本目の法案は、上院で共和党の賛成を必要としない「財政調整措置(リコンシリエーション)」の手続きを使う狙いだ。

バイデン氏は「夏場の今後数カ月間で、今会計年度が終了する前にこの(超党派)法案に加え、予算決議についても採決が終わっていると期待する」とし、「だが(法案が)1本しか送られなければ署名しない。2本立てだ」と述べた。

この発言を受けてマコネル氏は上院で、「大統領は超党派合意を支持してから2時間足らずで拒否権行使を示唆した」と痛烈に批判した。

マコネル氏は超党派協議に直接関与しておらず、合意を支持するかどうか態度を明確にしていない。

超党派協議に参加してきた共和党のリンゼー・グラム上院議員もツイッターに「リコンシリエーションも可決されなければ大統領は超党派案に署名しないという報道が事実なら、私にとって究極のディールブレーカー(合意を壊すもの)だ」と投稿した。

ホワイトハウスの発表によると、今回の合意では道路、橋梁、主要プロジェクトに1090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンドインターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。

財源については、内国歳入庁(IRS)の徴税強化で1000億ドルを調達する見込みのほか、新型コロナウイルス支援金の未使用分や各州から返還される失業保険金などを充当する。

また共和党が配布した文書によると、石油の緊急時備蓄の売却により60億ドルを賄う見込み。

上院民主党トップのシューマー院内総務は、今回の合意の概要を支持するが、詳細を確認したいと言及。インフラ投資計画に在宅医療など社会問題に取り組む内容が盛り込まれていなければ、可決に必要な民主党の支持を得ることはできないと述べた。来月にも上院での採決を目指すという。

民主党のペロシ下院議長は、上院が「財政調整措置(リコンシリエーション)」を活用して共和党が反対する部分を覆し、追加の歳出案を承認した後でなければ、下院では超党派のインフラ法案を採決しないとした。

これは、インフラ法案を巡る攻防が9月以降まで続く可能性を示している。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾は31日も警戒態勢維持、中国大規模演習終了を発

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ワールド

ロシアの対欧州ガス輸出、パイプライン経由は今年44

ビジネス

スウェーデン中銀、26年中は政策金利を1.75%に
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中