ニュース速報

ビジネス

英総合PMI、6月速報は61.7 インフレ圧力は過去最高

2021年06月23日(水)19時33分

[ロンドン 23日 ロイター] - IHSマークイット/CIPSが23日発表した6月の英国の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は61.7と、1998年以降で有数の高水準となった。

新型コロナウイルスの制限措置が緩和された5月は、過去最高の62.9だった。

インフレ圧力は過去最高を記録。投入価格の上昇ペースは、過去最高だった2008年6月と同水準。産出価格の上昇ペースは、1999年の統計開始以降で最高となった。サプライチェーンの混乱で部品が不足した。

IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は、インフレがさらに大幅に加速する可能性があると指摘。先月のインフレ率はイングランド銀行(英中央銀行)の目標である2%を超えた。

中銀は今週の金融政策委員会で現行の政策を維持する見通しだが、インフレは一時的との見解を中銀が堅持するかに注目が集まっている。

同氏は「企業は、経済活動の再開で6月に需要の急増が続いていると報告している。特に接客業がそうだ」と指摘した。

ただ、新規受注は伸び悩んでおり、回復ペースが鈍化する可能性もある。

ジョンソン英首相は5月中旬、イングランドのバー、レストランなどの接客業の屋内営業再開を許可したが、同首相は先週、新型コロナの感染再拡大を受けて、制限措置の全面解除を延期した。

PMI調査では、6月の雇用拡大ペースも過去最高だったが、多くの企業は人員不足で依然としてフル稼働状態に至っていない。求職者の不足で賃金も上昇している。

ウィリアムソン氏は、これを受けて、最近の物価上昇が中銀の想定以上に続くとの懸念が強まる可能性があると指摘した。

6月のサービス部門PMIは61.7と、前月の62.9から低下。製造業PMIは64.2と、前月の65.6から低下した。

景気の先行きには楽観的な見方が多いが、楽観度は5カ月ぶりの水準に低下した。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、ヒュー・ジンバー氏は、ワクチン接種の進展で需要が回復しており、民間部門が対応に苦慮していると指摘。

「異例の政策支援はもう必要ないと考えている金融政策委員は、今日の統計を受けて、そうした見方を強めるだろう」と述べた。

一方、パンテオン・マクロエコノミクスのサミュエル・トゥーム氏は、政府の雇用支援策が今後3カ月で縮小され、失業が増加する見通しだと指摘。また、物価に対する新型コロナ絡みの制約圧力も緩和するため、中銀が短期的なインフレのシグナルに動揺することは恐らくないだろうと述べた。

製造業は欧州連合(EU)離脱の影響を感じており、トゥーム氏によると、英製造業の輸出受注は、6カ月連続でユーロ圏の輸出受注を下回っている。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エネルギー貯蔵、「ブームサイクル」突入も AI需要

ワールド

英保健相、スターマー首相降ろし否定 英国債・ポンド

ビジネス

ロシア、初の人民元建て国内債を12月発行 企業保有

ビジネス

再送-オリックス、純利益予想を上方修正 再エネの持
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 6
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 7
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 8
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 9
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中