ニュース速報

ビジネス

英CPI、5月は前年比+2.1% 中銀目標上回る

2021年06月16日(水)18時11分

[ロンドン 16日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が16日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%上昇し、イングランド銀行(中央銀行)が目標とする2.0%を上回った。伸び率は2019年7月以来の大きさ。ロイターのエコノミスト調査では1.8%上昇と予想されていた。

新型コロナウイルスの厳しいロックダウン(都市封鎖)の影響で前年同月の数字が落ち込んだことを背景に、4月の1.5%上昇から加速。特に衣料品、自動車燃料、ゲーム、テークアウト食品などが上昇に寄与した。

変動が大きい食品・エネルギーを除いたコアCPIは前年比2.0%上昇だった。

16日序盤の英国債利回りは上昇。英中銀の政策動向見通しに敏感な2年物利回りは一時、約1カ月ぶりの高水準を付けた。

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、アンブローズ・クロフトン氏は「インフレ指標は予想を大きく上回る伸びだった。英国経済が再開に向けて進む中、インフレ圧力が増し続けていることが確認された」と述べた。

5月の燃料価格は前年同月比約18%上昇。衣料・履物価格は2.1%上昇した。

今回の物価データが集められたのは5月11日ごろで、パブやレストランが屋内でのサービス提供が認められ、映画館やホテルが再開したのは同月17日だ。

クロフトン氏は「金融政策正常化への道のりを開始する方法や時期を探る上で焦点は6月24日の英中銀会合に移った」と語った。

英中銀はこれまで、インフレ率が年末までに2.5%に達すると予想。その後はエネルギー価格上昇の影響がサプライチェーンのボトルネックといったその他コスト圧力と共に和らぐため、2%目標の水準に戻ってくると見ている。

各国の市場関係者は、物価上昇が続くリスクを精査している。特に米国では5月のCPI上昇率が前年比5.0%と、約13年ぶりの高水準となった。

シンクタンク「レゾリューション・ファンデーション」のエコノミスト、ジャック・レスリー氏は、CPI上昇率が昨年11月の0.3%から5月には2.1%に加速しており、6カ月間の上昇ペースとしては、2008-09年の金融危機後のポンド急落以降で最高となったと指摘した。

ただ同氏は「英国のインフレ圧力は、米国で激しい議論を巻き起こしているような強いものではない」との見方も示した。

ベイリー中銀総裁ら大半の中銀当局者は、物価上昇は一時的で、大規模な金融緩和を縮小する必要はないと主張しており、次回6月24日の金融政策委員会でも現行政策を据え置くとみられている。

ただ、中銀のハルデーン理事は先週、英国が欧州為替相場メカニズム(ERM)を離脱した1992年以来「最も危険な時期」にあると主張している。

今後さらに物価上昇が進む兆しも出ている。

5月の生産者物価指数(PPI)では、投入価格が前年比10.7%上昇と、2011年9月以来の大幅上昇。産出価格は4.6%上昇で、2012年1月以降で最大となった。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-トランプ氏、4月の訪中招待受入れ 習氏も国賓

ワールド

米・ウクライナ、和平案巡り進展 ゼレンスキー氏週内

ビジネス

米IT大手、巨額の社債発行相次ぐ AI資金調達で債

ワールド

トランプ政権、25年に連邦職員31.7万人削減 従
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中