ニュース速報

ビジネス

円は「最弱通貨」維持か、米金利動向が鍵=来週の外為市場

2021年02月26日(金)15時47分

来週の外為市場では、幅広い通貨に対して売られている円が「最弱通貨」の地位を維持するかが焦点となる。写真は、イラスト化されたドルやポンド紙幣。2020年1月6日に撮影。(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

[東京 26日 ロイター] - 来週の外為市場では、幅広い通貨に対して売られている円が「最弱通貨」の地位を維持するかが焦点となる。鍵を握るのは米長期金利や原油価格の動向で、これらが続伸すればドル買い/円売り、資源国通貨買い/円売りが一段と広がる可能性がある。

予想レンジはドルが105.00━107.50円、ユーロが1.2050―1.2300ドル。

上田東短フォレックスの営業推進室長、阪井勇蔵氏は「足元ではクロス円での円売りがはやりで、短期筋にとって最も手堅いトレードとなっている。米長期金利の上昇や原油高が続くのであれば、107円台を目指すモメンタムも出てくるだろう」とみる。

ただ、25日には「米国株の大幅安を受けてユーロ/円が1円幅で急落した経緯もある。米長期金利高が株価にマイナスに作用する局面では、たとえ一時的であってもリスク回避の円買いが活発化する余地が十分ある」とも指摘する。

原油高も「円売りトレード」に一役買っている。原油先物価格は各国の金融緩和や米国での原油生産減少を背景に現在13カ月ぶりの高水準にある。原油高は対資源国通貨での円売りを誘い、豪ドル/円は85円に迫り3年ぶり高値圏。カナダドル/円は一時85円台とほぼ2年ぶりの高値圏にある。

一方で米国債市場では、長期金利の上昇が、新型コロナのワクチン普及や景気回復期待による「良い金利上昇」から、国債の大量増発に伴う需給悪化懸念を背景とする「悪い金利上昇」に転換してきていることは要注意だ。

米10年国債利回りは25日に一時1.6138%と1年ぶり高水準をつけたが、きっかけは投資家の買いが集まらず低調に終わった7年債入札。米2年国債と10年国債の利回り格差は141.3ベーシスポイントと2015年11月以降で最大となり、イールドカーブはスティープニングした。

三井住友銀行のチーフストラテジスト、宇野大介氏は「FRBが再三、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)や出口戦略の検討は時期尚早と言っているにもかかわらずカーブがスティープニングしているのは、市場が足元および将来の財政赤字拡大を織り込み始めた結果だ」とみている。

4月上旬には着地するであろう1.5ー1.9兆ドル規模の追加コロナ対策、そしてバイデン政権が公約で掲げた大型経済対策はこれから立法過程に入る。「こうした過剰とも言える財政出動と必然的な財政赤字の大幅拡大は、長期的にみてドル売りを促す最も大きな材料になり得る」と同氏は予想する。

(為替マーケットチーム)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

消費税率引き下げることは適当でない=加藤財務相

ワールド

クックFRB理事の解任認めず、米控訴裁が地裁判断支

ワールド

小泉農相、自民総裁選出馬意向を地元に伝達 加藤財務

ビジネス

日銀には政府と連携し、物価目標達成へ適切な政策期待
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中