ニュース速報

ビジネス

FRB議長、緩和維持強調 景気回復「まばらで完全とは程遠い」

2021年02月24日(水)05時16分

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、国内の景気回復は依然として「まばらで完全とは程遠い」状態にあり、政策の変更を検討するまでには「しばらく時間がかかる」と述べた。写真は昨年12月、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Susan Walsh/Pool via REUTERS/File Photo)

[ワシントン 23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、国内の景気回復は依然として「まばらで完全とは程遠い」状態にあり、FRBが完全雇用の復帰に向け導入した政策の変更を検討するまでには「しばらく時間がかかる」という認識を示した。

FRBの政策支援がインフレ高進や危険な資産バブルを招くとは考えにくいとし、景気支援の継続がなお必要と強調した。また、現在確認されている市場の動きについては、新型コロナウイルスワクチンが奏功するとの期待や消費支出拡大見通しなど、景気回復への期待を反映していると指摘した。

上院銀行委員会で開かれた経済状況に関する公聴会で、利下げや月額1200億ドルの国債買い取りは「金融情勢を大幅に緩和し、経済に実質的な支援を提供している」と発言。同時に「経済は雇用や物価目標にまだ遠く及ばず、実質的な一段の進展が達成されるまで時間がかかりそうだ」と表明した。

金利は当面低水準にとどまると再表明。「金融政策は緩和的で、緩和的であり続ける必要がある」とし、FRBが何らかの変更を決定する際は「慎重かつ忍耐強く」対応し、十分に事前に通告すると語った。

債券購入については「FRBが目標の達成に向け一段の進展を遂げるまで少なくとも現在のペース」を維持すると確認した上で、「実際のところは進展していない」と述べた。

また、国内の公衆衛生危機は改善しており、「進行中のワクチン接種が年内に一段と正常な状態に戻るという希望をもたらす」一方、「経済の行方は引き続きウイルスの動向や感染予防対策に大きく依存している」と話した。

ワクチン展開に伴い、新型コロナ禍からの景気回復に弾みが付けば、今年の米経済成長率が6%のレンジに至る可能性があると予想した。米国内総生産(GDP)が今年上期中に、コロナ禍以前の水準に回復する可能性があるとも指摘した。

一部共和党議員は、FRBの資産購入、ワクチン接種の進展を受けた景気回復、政府の大規模な追加景気対策の相乗効果で資産価格が持続不能な水準まで押し上げられ、インフレが高進するのではないかと懸念を表明。パウエル議長はこれに対し 現時点では引き続き景気回復に主眼を置く必要があるとし、完全雇用を回復するには当面、FRBの支援が必要になると述べた。

パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏は「パウエル議長は景気回復が必ずしも利上げにつながるわけではないと市場に伝えたいのではないか」と指摘。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏は「景気回復が進展する一方、労働市場の回復やインフレ率が懸念される水準に到達するまでの道のりは依然長い」との認識が示されたとし、「金融政策が近く変更されるとは予想していない」と述べた。

パウエル議長は24日、下院金融サービス委員会で行われる公聴会で証言する。

*情報を追加します。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、ダウ330ドル超安 まちまちの

ワールド

米、ロシア石油大手ロスネフチとルクオイルに制裁 ウ

ビジネス

NY外為市場=英ポンド下落、ドルは対円で小幅安

ビジネス

米IBM、第3四半期決算は予想上回る AI需要でソ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    やっぱり王様になりたい!ホワイトハウスの一部を破…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中