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仏ルノーが生産台数縮小へ、25年に310万台 利益向上へ戦略見直し
仏自動車大手ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(写真)は1月14日、就任後初の戦略見直しで、コスト削減目標を引き上げるとともに、生産台数を縮小する計画を示した。写真は昨年10月の仏ムードンでの記者会見。(2021年 ロイター/Benoit Tessier)
[パリ 14日 ロイター] - 仏自動車大手ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は14日、昨年7月の就任以来初めて戦略を見直し、コスト削減目標を引き上げるとともに、生産台数を縮小する計画を示した。利益率向上を目指す。
製造部門の簡素化と研究といった分野における支出抑制のほか、2025年の生産台数を約310万台とし、19年の400万台から縮小する計画を示した。
効率性と利益率にフォーカスした新たな計画は、カルロス・ゴーン元会長兼CEOがかつて打ち出したボリューム拡大戦略からの脱却となる。
デメオCEOはオンライン説明会で「われわれはより大きく成長したが、より良くではなかった」と指摘。現在の課題は「市場シェアからマージンへ事業を誘導する」ことだと付け加えた。
これに向けルノーは自動車生産にあたって共有プラットフォームを少なくし、23年までに1台当たりコストを600ユーロ(730ドル)切り詰める。同社によると、25年までに発売する自動車の半分は電化バージョンになり、電気モデルは化石燃料車よりも利益率が良くなるという。
ジェフリーズのアナリスト、フィリップ・フショワ氏は顧客向けノートで、ルノーの新たな利益目標を「迫力に欠ける」と指摘。「ルノーの困難の大きさ」を反映しているとした。
ルノーは新車開発期間を1年短縮し、3年未満とする計画。また、データ、モビリティー、エネルギー関連サービスからの「新たな利益プール」に焦点を当てた「Mobilize」と呼ばれる新事業部門を発表した。
デメオCEOは、2030年までにこの事業からルノーの売上高の少なくとも2割を稼ぎ出すことを目指すとし「われわれはテックと連携している自動車会社から車と連携しているテック企業に変化するだろう」と述べた。
ルノーは14日、コスト削減目標を5億ユーロ(6億0800万ドル)上積みし、23年までに25億ユーロとしたほか、営業利益率を徐々に改善させ、23年までに5%を達成するとの目標を設定した。
また、設備投資・研究コストを25年までに売上高の10%から8%に引き下げる方針。全体として、これらの措置により、ルノーの損益分岐点は23年までに30%下がる見通し。
20年の利益率はまだ発表されていない。ただ、新型コロナウイルス流行を受け、19年の4.8%を下回る公算が大きい。
ルノーは、オートモーティブフリーキャッシュフローを23年までに30億ユーロ、25年までに60億ユーロとする目標を示した。
シティバンクのアナリストは顧客向けノートで「短期的なキャッシュ目標へのコミットメントは、投資家にとって主な懸念となっている中でポジティブだ」と指摘。「同業他社と比べて著しいディスカウント水準でのルノー株取引が続いていることを考慮すると、持続可能な基盤に向けたルノーの動きを巡る詳細がさらに明らかになったことも歓迎すべきだ」とした。
日産自動車の内田誠社長は14日、収益性の高いモデルに焦点を当てるルノーの戦略見直しについて、両社のアライアンス強化につながる力強い計画と指摘。ルノーのオンラインプレゼンテーションで、日産とルノーの事業計画は補完的かつ協調的で、アライアンスが生み出す機会に自信を持っていると述べた。その上で、この先非常に厳しい事業環境に直面する準備を整えておく必要があると語った。
*内容を追加しました。