ニュース速報

ビジネス

米ギリアド、通年見通し引き下げ レムデシビルの販売予想下回る

2020年10月29日(木)08時34分

 米製薬会社ギリアド・サイエンシズが発表した第3・四半期決算は売上高が前年同期比17%増加し、市場予想を上回った。ただ「レムデシビル」の業績への寄与度は予想に届かなかった。写真は同社オフィス。4月にカリフォルニア州オーシャンサイドで撮影(2020年 ロイター/Mike Blake)

[28日 ロイター] - 米製薬会社ギリアド・サイエンシズが発表した第3・四半期決算は売上高が前年同期比17%増加し、市場予想を上回った。ただ、新型コロナウイルス感染症の入院患者の治療向けに米国で唯一承認されている抗ウイルス薬「レムデシビル」の業績への寄与度は予想に届かなかった。

同社は通年の売上高見通しを引き下げ、230億─235億ドルとした。市場予想は241億ドル。同社は従来予想では最大250億ドルを見込んでいた。

レムデシビルの売上高は8億7300万ドルで、市場予想の9億6000万ドルを下回った。

ギリアドは決算発表後の電話会見で、レムデシビルの販売分の一部は第4・四半期の利用に向け在庫として保有されるとし、同薬の売り上げを予想するのは現時点では困難だと加えた。

ジョアンナ・メルシェ最高商業責任者(CCO)は、米国では今年夏に新型コロナ感染症の患者が急増したが、若年層の患者が多く、入院率は実際には低下したと指摘。「今年秋の欧米での感染急増を踏まえると、こうした数字は再び増える可能性が高い」と述べた。

アンドルー・ディキンスン最高財務責任者(CFO)は「業績予想の修正は、ほぼすべてベクルリー(レムデシビルのブランド名)の予想に関連するものだ。第3・四半期の需要は予想を下回った」と述べた。

ジェフリーズのアナリスト、マイケル・イー氏は「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の先行きには依然として不透明感があり、レムデシビルの見通しに疑問が残る」と述べ、新型コロナ感染症治療を目的とした他の抗ウイルス薬の臨床試験に言及した。

ギリアドの株価は通常取引を2%安で終了した後、時間外取引でさらに1.5%下落した。

第3・四半期の売上高は66億ドルで、市場予想の平均(63億1000万ドル)を上回った。調整後1株利益は2.11ドルで、市場予想を0.21ドル上回った。

レムデシビルは、政府が実施した臨床試験で新型コロナ患者の入院期間を短縮させる効果を示したことを受け、5月に米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を承認。

7月に商業販売が開始され、FDAは今月、正式に同薬を承認した。ただ、世界保健機関(WHO)が支援する臨床試験で最近得られた結果では患者の症状に改善の効果は見られなかった。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国防長官、ウクライナ侵攻継続ならロシアに「代償」

ワールド

トランプ氏、インドが「ロ産原油購入しないと約束」 

ワールド

「政府機関閉鎖で1日に150億ドル損失も」、米財務

ワールド

トランプ氏のポートランド派兵、米連邦地裁が一時差し
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に共通する特徴、絶対にしない「15の法則」とは?
  • 4
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中