ニュース速報

ビジネス

ANA、構造改革でLCC強化 全日空のマイルで利用可能に=関係筋

2020年10月22日(木)17時13分

 10月22日、ANAホールディングスは事業構造改革の一環として、傘下の格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションを強化する。成田空港で2014年撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 22日 ロイター] - ANAホールディングス<9202.T>は事業構造改革の一環として、傘下の格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)を強化する。全日本空輸で貯めたマイルでピーチに搭乗できるようにし、利用を促す。新型コロナウイルスの影響で早期の需要回復が見込めない中、ビジネス客に強い全日空は高収益路線に集約する一方、運航コストが比較的安く、個人客の多いLCCの路線を拡充する。

複数の関係筋によると、ANAは全日空のマイルをピーチで使えるポイントに変換できるよう調整を進めている。27日に発表する事業構造改革案に盛り込む見通し。

新型コロナの感染拡大でインターネットを使ったテレワークの定着などで出張が減り、ANAは全日空が強みとするビジネス需要はコロナ前の水準には戻らないと判断。一方、旅先で仕事をするワーケーションの浸透などで、個人需要は比較的戻りが早く、低料金のLCC利用は増えるとみている。

ピーチは21日、中部空港発着の国内線就航を発表。新千歳と仙台の2路線を12月24日から運航し、さらなる路線追加も検討している。ピーチの国内線拡充は以前から計画されていたが、予定より前倒しで進める。減便中の自社の国際線事業の落ち込みを補いつつ、全日空が休止する路線の補完をにらみ、当面は国内線事業の拡大を優先する。

一方、全日空は国内線を羽田と伊丹発着の路線を中心に集約し、地方発着路線の縮小を検討している。国際線も羽田発着を優先し、関西、中部、成田の各空港は発着便の多くを当面休止する。

関係筋の1人は「フルサービスキャリアの全日空では採算が取れない。LCCとの路線ネットワーク強化でコロナ禍を乗り切る」と話す。

ANA広報はロイターの取材に対し、コメントを控えた。

27日に公表する事業構造改革では具体的な路線名までには踏み込まない方向。日本政府が地方経済活性化やインバウンドに力を入れる中、「利害関係者(ステークホルダー)との調整が必要なためだ」(関係筋)。

別の関係筋によれば、ANAは同日、2021年3月期が5000億円規模の最終赤字見通しとなることを発表する。旅客需要の急減で収入が大きく減少、航空機の減損も響く。[nL4N2HC2ZA]

固定費抑制に向けた機材や整備費、人件費などの削減策、主力の三井住友銀行や日本政策投資銀行など5行から劣後ローンで4000億円を調達する計画なども公表する。

*内容を追加しました。

(白木真紀 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

欧州委、ブラックロックとMSCのスペイン港湾権益買

ビジネス

午前の日経平均は小反落、手掛かり難で方向感乏しい

ワールド

中国の銅生産能力抑制策、業界関係者から不十分との指

ワールド

焦点:香港火災で市民の不満爆発も、政治統制進める中
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中