ニュース速報

ビジネス

日銀、20年度の成長率・物価見通しを小幅下方修正へ=関係筋

2020年10月20日(火)19時49分

 日銀は28日―29日に開く金融政策決定会合で、20年度の成長率と物価の見通しを小幅に引き下げる公算が大きい。複数の関係者が20日、明らかにした。写真は日銀のサイン。都内の日銀本部で5月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

和田崇彦 木原麗花

[東京 20日 ロイター] - 日銀は28日―29日に開く金融政策決定会合で、20年度の成長率と物価の見通しを小幅に引き下げる公算が大きい。複数の関係者によると、夏場のサービス消費が弱かったことや、政府の観光需要喚起策「GoToトラベル」による宿泊料等の値下げが今年度の景気・物価の重しになる可能性が高い。ただ、生産や輸出は回復しており、日銀は4―6月期をボトムに国内景気は持ち直しつつあるとの見方を維持する見通しだ。

日銀は次回の決定会合で経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表する。前回、7月の展望リポートでは20年度実質国内総生産(GDP)の政策委員の見通しの中央値は前年度比マイナス4.7%。日銀内では、この数値には大幅に落ち込んだ4―6月期の実質GDPが反映されているものの、夏場のサービス消費の落ち込みは織り込まれていないとの声が出ている。

外出自粛の影響で夏場の消費支出は弱かった。7月の家計調査では、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の消費支出は前年比で実質7.6%減と市場予測を大きく下回った。市場関係者を対象にしたロイターの調査では、20年度の実質GDPは6.0%減に落ち込む予想となっている。

一方、7月展望リポートで示された20年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の政策委員見通しの中央値は前年度比マイナス0.5%。GoToトラベルの影響や原油安により、こちらも下方修正となる見通しだ。

もっとも、日銀は国内景気について、引き続き厳しい状況にあるものの、4―6月期をボトムに持ち直しつつあるとする従来の見通しを維持するとみられる。生産や輸出が戻り歩調にあるためだ。

10月1日発表の9月日銀短観では20年度の設備投資計画は全規模・全産業で前年度比2.7%減に下方修正された。9月調査でマイナスとなるのは2010年度以来のことだ。ただ、日銀内ではリーマン・ショック時に比べれば下落率は小さく、生産の回復に沿って設備投資も戻りそうだとの見方が出ている。

日銀では、先行きの景気見通しは依然として下振れ要因の方が多いとの見方が出ている。欧州では新型コロナの感染が急拡大。夜間の外出禁止令など公衆衛生上の措置も出始めた。日銀は大規模な金融緩和や、一連のコロナ対応を維持しながら、感染状況の帰趨と国内経済や金融市場への影響を注視するとみられる。

*見出しと第一段落の表現を修正しました。

(和田崇彦、木原麗花 編集:石田仁志)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過去最高水準に
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中