ニュース速報

ビジネス

米失業保険申請87万件、予想超える増加 コロナ禍回復に息切れ感

2020年09月25日(金)00時47分

米労働省が24日に発表した9月19日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は87万件と、前週の86万6000件から増加した。写真はアーカンソー州フォートスミスで失業保険申請に並ぶ市民ら。4月撮影(2020年 ロイター/NICK OXFORD)

[ワシントン 24日 ロイター] - 米労働省が24日に発表した9月19日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比4000件増の87万件と、市場予想の84万件を超えて増加した。政府の支援金が減少する中、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの経済回復が息切れしているとの見方を裏付ける結果となった。

失業保険申請件数は米経済の状況を示す最もタイムリーな指標とされている。それによると、9月初めに何らかの失業保険を受けていた人は約2600万人に上った。

エコノミストが重視する季節調整前の失業保険申請件数も2万8527人増の82万4542人となった。

新規失業保険申請件数は2007─08年のグレート・リセッション(大不況)時のピークである66万5000件を上回っているが、3月下旬に記録した過去最高の686万7000件からは減少している。5月の事業再開に伴い経済活動は活発化しているものの、サービス業の需要は依然として低迷しており、一時解雇は増加し続けている。

自営業者や単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」などに適用されるパンデミック失業支援(PUA)の申請件数は、19日までの1週間に63万0080人となり、総計で同週に約150万人が失業保険を申請した計算となる。

9月12日までの週の失業保険受給総数は、16万7000人減の1258万人だった。

エコノミストは、大半の州で26週間に制限されている給付金の受給資格を使い果たした人がいるため、継続請求は減少しているとみる。8月には100万人弱が半年間の失業給付期間を終了した。5日までの週には少なくとも160万人の労働者が延長給付を申請。前週から10万4479人増加した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、新型コロナウイルス禍からの景気回復の道のりは長く、議会とFRBの双方が回復への取り組みを続ける必要があると強調した。しかし、追加のコロナ経済支援策を巡る議会とホワイトハウスの協議は難航しており、11月大統領選前の合意は難しくなりつつある。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は、「高水準の失業率は、この国がまだ危機を脱したわけではないことを示している。財政刺激策を求めるFRB当局者の願いが政府当局に届かなければ、その実現はないだろう」とし、「経済はガス欠状態だ」と懸念した。

センチュリー財団のアンドリュー・ステットナー上級研究員は、「ウイルス対策の進展加速だけが、エンターテインメント分野などの多くの労働者による失業との闘いを和らげるだろう」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中