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マツダ、今期は最終赤字900億円・無配に 4—6月期も過去最大の赤字

2020年07月31日(金)19時26分

7月31日、マツダが発表した2020年4—6月期連結決算では、純損益が666億円の赤字(同52億円の黒字)だった。 写真はジュネーブで昨年3月撮影(2020年 ロイター/Pierre Albouy)

[東京 31日 ロイター] - マツダ<7261.T>が31日発表した2020年4―6月期連結決算は、営業損失と純損失がいずれも同じ期として過去最大の赤字となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売が急減したことが響いた。21年3月期は900億円の最終赤字(前期は121億円の黒字)を見込む。コロナ禍の長期化による財務リスクに備え、年間配当予想は無配(前期は35円)とする。

業績悪化を受け、丸本明社長は電話会見で、25年3月期を最終年度とする中期経営計画を見直すと明らかにした。「最終年度の売上高と利益目標は変更しない」とした上で、目標の達成時期を1年ずらし、26年3月期にすることを検討しているという。同社は最終年度に売上高4兆5000億円、営業利益率5%以上などの目標を掲げており、「詳細は今秋以降にあらためて発表する」とした。

調査会社リフィニティブが集計したアナリスト15人の今期純損益の予測平均値は452億円の赤字で、会社見通しは市場予想よりも赤字幅は大きくなっている。

今期の営業損益予想は400億円の赤字(前期は436億円の黒字)で、予想通りとなれば過去最大の営業赤字となる。出荷減少が響くほか、環境規制対応の費用、為替の円高影響なども圧迫する。

今期の売上高予想は前期比16.9%減の2兆8500億円、世界販売計画は同8.4%減の130万台。中国は23%増を見込むが、欧州が26%減、アセアン・中南米などその他の市場でも厳しい販売状況が続くとみる。連結出荷台数は19%減の100万台を見込む。

今期の国内生産規模は、4—6月期は生産調整で前年同期比約8割減だったが、8月以降は通常操業に戻り、通期では約2割減を計画。

<新車需要「徐々に回復」が前提、下期黒字化へ>

古賀亮専務執行役員は「今期の計画は不透明な状況の中だが、自動車需要は徐々に回復することを前提」としていると説明。世界販売は、4―6月期は前年同期比3割減だったが、7―9月期は1割減、10―12月期は若干のマイナス、1―3月期では前年超えを目指す。

連結出荷台数は、4―6月期は在庫適正化のため6割減となったが、7―9月期は2割減、10―12月期は前年並み、1―3月期は前年を上回る前提だ。古賀専務は販売回復、広告宣伝費や研究開発費の抑制など固定費の削減により「利益水準は徐々に回復し、下期に黒字化を目指していく」と述べた。

<4―6月期の赤字は過去最大、手元流動性「十分ある」>

4—6月期連結決算は、純損益が666億円の赤字(前年同期は52億円の黒字)、営業損益は452億円の赤字(同69億円の黒字)だった。コロナ影響で販売が急減し、ともに同じ期として過去最大の赤字額となった。売上高は55.6%減の3766億円、世界販売は31%減の24万4000台だった。

同社は4—6月期に2900億円の資金調達も実施。小野満専務執行役員は「4―6月期に長期資金を調達したが、当初見込みよりキャッシュフローが上振れ、余分目に借り入れした格好になっている」と説明。今期末時点での手元流動性は「十分ある」とし、「現時点で追加の(資金)調達を考えていない」と話した。

一方、同社のサプライチェーンが一部、コロナによる影響を受けたことを踏まえ、丸本社長は「1カ所で集中して生産するリスクは極めて高い」ことを学んだと話した。調達は常にグローバルで見ておく必要があるとし、事業継続性の観点から「生産の分散は考えなければならない」との考えを示した。

*内容を追加しました。

(白木真紀 編集:内田慎一)

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