ニュース速報

ビジネス

米、5月の採用件数が過去最多 レイオフも減少=雇用動態調査

2020年07月08日(水)02時59分

米労働省が7日発表した5月の雇用動態調査(JOLTS)は、新型コロナウイルス禍で滞っていた経済活動が再開したことを受け、採用件数が過去最多を記録したほか、レイオフ件数も減少した。ユタ州サンディのジョブフェアで昨年3月撮影(2020年 ロイター/George Frey)

[ワシントン 7日 ロイター] - 米労働省が7日発表した5月の雇用動態調査(JOLTS)は、新型コロナウイルス禍で滞っていた経済活動が再開したことを受け、採用件数が2000年の統計開始以来最多を記録したほか、レイオフ件数も減少した。ただこのところの感染再拡大で一部の企業は再び閉鎖を余儀なくされており、先行きへの不透明感は強まっている。

採用件数は240万件増の650万件と2000年の統計開始以降で最多となった。採用率も前月の3.1%から4.9%に急上昇し、最高を更新した。業種別では宿泊や食品サービス関連の伸びが目立ったほか、医療、建設関連なども増えた。

レイオフ・解雇件数は前月の770万件から180万件に大幅減少。レイオフ・解雇率も前月の5.9%から1.4%に改善した。3月には7.6%まで悪化していた。レイオフ・解雇は宿泊、食品サービス業界で大きく減少。小売業界でも減少した。

5月の通常の新規失業保険申請件数は800万件を超えていたが、今回の統計ではレイオフ・解雇件数は約180万件にとどまった。

エコノミック・ポリシー・インスティチュート(ワシントン)のシニアエコノミスト、エリーズ・グールド氏は「5月に失業保険を新規申請した人達の多くが3月、もしくは4月にレイオフされた人達だったことが示唆されている。申請を5月まで待ったか、政府機関が処理しきれなかった申請分を遅れて処理した可能性がある」と指摘。ただ「レイオフが増加し、採用が再び鈍化する恐れがあることが最近の指標で示されている」と述べた。

求人件数は40万1000件増の540万件。求人率は前月の3.7%から3.9%に上昇した。求人は宿泊、食品サービス、小売、建設業で増加。地域別では、他よりも早く経済活動が再開された南部の増加が顕著だった。ただ現在、新型ウイルス感染拡大は南部で最も深刻化している。求人は情報関連産業のほか、連邦政府、教育サービスで減少した。

自発的な離職件数は19万件増の210万件。自発的な離職率は1.6%と、9年ぶりの低水準となった4月の1.4%から上昇した。自発的な離職率は労働市場における信頼感の水準を見極めるために政策担当者やエコノミストが注目している。

MUFG(ニューヨーク)のエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「現在の労働市場にはさまざまな動きがあり、通常でない要素も見られることから、流れを読むのは難しい」とし、「全国的に見られている多数の求人が本物なのか信じがたい。求人の多くは労働市場が過去50年ぶりの活況を呈していた年初時点の残り物だと考えている」と述べた。

インディード・ハイアリング・ラボのディレクター、ニック・バンカー氏は「失業者は現在、失業保険拡充措置の恩恵を受けているが、こうしたプログラムは今月には期限が切れる」と指摘。「真剣に職探しを始めた時に求人が減少している恐れがある」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

次期FRB議長の条件は即座の利下げ支持=トランプ大

ビジネス

食品価格上昇や円安、インフレ期待への影響を注視=日

ビジネス

グーグル、EUが独禁法調査へ AI学習のコンテンツ

ワールド

トランプ氏支持率41%に上昇、共和党員が生活費対応
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中