ニュース速報

ビジネス

インタビュー:4―6月期、生産減など1000億円規模の減益要因=日鉄副社長

2020年06月02日(火)06時44分

日本製鉄の宮本勝弘副社長は、ロイターのインタビューに応じ、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しさが続く業績について「4―6月期が一番の底になる」との見通しを示した。昨年3月撮影(2020年 ロイター/YUKA OBAYASHI)

[東京 2日 ロイター] - 日本製鉄<5401.T>の宮本勝弘副社長は、ロイターのインタビューに応じ、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しさが続く業績について「4―6月期が一番の底になる」との見通しを示した。4―6月期については、粗鋼生産量の減少や減産コストなどで、1000億円レベルの減益要因になるとした。

インタビューは5月28日に行った。

宮本副社長は「新型コロナ次第だが、4―6月期が一番の底」と指摘した。4―6月期の粗鋼生産量が前年比で200―300万トン減少。高炉の一時休止などに伴う減産コストも加わることで「1000億円レベルのマイナス要因になる」と述べた。

8日に行った決算発表時には、2021年3月期(国際会計基準、IFRS)見通しの開示を見送った。ただ、橋本英二社長は会見で「上期の大幅な(単独営業)赤字は避けられない」との見通しを示していた。

赤字幅がどの程度になるかについては「7―9月期のどこで戻るか、戻らないかによっても変わってくる」とした。足元については、一部自動車生産が動き出したことなどを踏まえ「想定した最悪より、若干プラスの部分も出てきている」という。

同社は、15基ある高炉のうち6基を夏までに一時休止することを決めている。さらなる対応策の必要性については「新型コロナ次第」とし「今のところ、今取った措置をベースにやっていく」とした。

新型コロナの感染拡大により自動車生産が落ち込むなど、鉄鋼需要には多大な影響が出ている。

ただ、自国産化の流れのなかで、日本の粗鋼生産1億トンのうちの輸出4000万トン、間接輸出2000万トンについては減少する方向にあったという。宮本副社長は「どのタイミングで粗鋼生産が8000万トンになるかはまだ分からないが、新型コロナによって、想定していた時期よりも早く来る」と指摘。「やろうとしていた戦略をスピードアップするということ」と述べ、構造改革の効果を早期に得られるように進める考えを示した。加えて「場合によっては、今後の需要を見ながら、さらなる構造対策をやっていく」とした。

汎用品の輸出が減少傾向にある中で、日本の製造業向けの高級品の供給については「きちっと守り抜く」と語った。

(清水律子 大林優香)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

チェコ、来月3日に連立合意署名へ ポピュリスト政党

ワールド

日中、高市首相と習国家主席の会談を31日開催で調整

ビジネス

トランプ氏「ガザ停戦脅かされず」、イスラエルは空爆

ワールド

エベレスト一帯で大雪、ネパール・チベット両側で観光
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 7
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 10
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中