ニュース速報

ビジネス

独ルフトハンザ、98億ドルの公的支援で合意 政府が株式20%取得

2020年05月26日(火)08時02分

ドイツ政府は25日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で打撃を受けた独航空大手ルフトハンザと政府の企業救済ファンド「経済安定化基金」による90億ユーロ(98億ドル)規模の救済策で基本合意に達した。。フランクフルトで3月に代表撮影(2020年 ロイター)

[フランクフルト/ベルリン 25日 ロイター] - ドイツ政府は25日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で打撃を受けた独航空大手ルフトハンザに対し、企業救済ファンド「経済安定化基金(WSF)」などを通じて90億ユーロ(98億ドル)の公的支援を行うことで同社と基本合意した。

政府がルフトハンザの株式20%を取得し、2023年末までに売却する予定。1株当たり額面価格2.56ユーロで、約3億ユーロ(3億2700万ドル)の新株を購入する。

これに追加し、政府は57億ユーロの議決権のない資本参加も行う。政府はルフトハンザに対する敵対的買収を阻止するため、あるいは同社が2020年と21年に4%の利息の支払いができなかった場合、この一部を議決権株式5%に転換して保有率を25%プラス1株に引き上げ、重要議案に拒否権が持てるようにする可能性があるという。

ルフトハンザはここ数週間、救済策について政府と協議を行っており、救済と引き換えに政府がどの程度の監督権限を得るかが争点となっていた。

独財務省と経済省はルフトハンザの経営状況について、従来は健全で見通しも明るかったが、新型コロナのパンデミックで問題が出たと説明した。ショルツ財務相は救済策について、同社と納税者の双方のニーズを考慮した「極めて良い解決策だ」とし、支援策は時限的なものと強調した。

ルフトハンザの株価は7.5%高の8.64ユーロで終了した。

競合他社では、フランス・オランダ系航空大手エールフランスKLM、米国のアメリカン航空やユナイテッド航空、デルタ航空も政府支援を要請している。

ルフトハンザによると、今回の合意には将来の配当支払い免除と経営陣の給与制限が含まれる。政府は監査役会の2ポストを占める。

アルトマイヤー経済相は、今回の救済策で「ルフトハンザの身売りが阻止される見通し」だと述べ、数千人の雇用維持につながるとした。

また、ルフトハンザはドイツ復興金融公庫(KfW)や民間銀行から期間3年の30億ユーロの融資も受ける。

合意によると、WSFは定例の株主総会での議決権行使を控える。

今回の救済策は欧州連合(EU)欧州委員会の承認も必要になる。アルトマイヤー氏は公共放送ARDのテレビ番組で、過去の大型企業救済策は全てEUと連携し、承認も得られたため、「今回も解決策が見いだせると期待している」と語った。

関係筋によると、独政府と欧州委はルフトハンザの救済策で競争が阻害されないよう、同社のどの発着枠を減らすべきかについて協議を続けているという。

独紙ハンデルスブラットによると、メルケル首相は運航枠是正に行き過ぎがないよう対応する意向を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国全人代常務委、関税法を可決 報復関税など規定

ビジネス

物価の基調的な上昇率、見通し期間後半には目標と概ね

ワールド

エクイノール、LNG取引事業拡大へ 欧州やアジアで

ビジネス

赤沢財務副大臣「特にコメントできることない」、日銀
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中