ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、新型肺炎の拡大防止策巡り経済への懸念強まる

2020年01月28日(火)07時38分

米国株式市場は過去3カ月余りで最悪のパフォーマンスとなった。中国が新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大防止に向け、春節(旧正月)の連休を延長すると発表したことを受け、経済活動への影響懸念が強まった。ロサンゼルスで26日撮影(2020年 ロイター/RINGO CHIU)

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米国株式市場は下落して取引を終えた。過去3カ月余りで最悪のパフォーマンスとなった。中国が新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大防止に向け、春節(旧正月)の連休を延長すると発表したことを受け、経済活動への影響懸念が強まった。

S&P総合500種<.SPX>は週間で昨年9月以来最悪のパフォーマンスを記録した。中国では複数の都市が事実上封鎖され、旅行が制限される事態となっており、2002─03年に800人近い死者を出し、世界経済に打撃を与えた重症急性呼吸器症候群(SARS)を投資家に想起させた。[nL4N29W2FB]

ただ一部の投資家は、過去のウイルス感染の事例を踏まえ、経済に長期的な影響が及ぶ可能性は低いとみている。

ウェドブッシュ・セキュリティーズのシニア・バイス・プレジデント、スティーブン・マソッカ氏は「中国はSARSの時よりも、かなりうまく対応しているようだ。SARSについても何らかの経済的大惨事につながったかというと、そうではない」と指摘した。

S&Pは、SARSの発生時から封じ込めが宣言されるまでに10%超上昇した。

この日は航空株やカジノ・ホテル株といった旅行関連銘柄に加え、中国市場へのエクスポージャーが大きい情報技術(IT)<.SPLRCT>、素材<.SPLRCM>、エネルギー<.SPNY>といったセクターが下げ、相場を圧迫した。

主要株価3指数が最高値圏にある中、これまでに発表された第4・四半期企業決算がさえないことも株価の下押し要因となっている。

リフィニティブのデータによると、S&P総合500種採用企業の第4・四半期は0.5%の減益となる見通し。27日朝の時点で87社が決算を発表済みで、このうち市場予想を上回ったのは67.8%と過去4四半期平均の74%を下回っている。

ダウ工業株30種<.DJI>とS&Pは下落率が昨年10月2日以来の大きさ、ナスダック総合<.IXIC>は8月23日以来の大きさとなった。投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は19.02と10月10日以来の高水準を記録した。

アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コムといった最近の市場の上昇を主導してきた大型IT株は少なくとも1.6%下落。

中国事業の規模が大きいウィン・リゾーツ、メルコ・リゾーツ、ラスベガス・サンズは少なくとも5%値下がりした。NYSE・ARCA航空株指数<.XAL>は3.32%安。

中国で「KFC」や「ピザハット」などのファストフードレストランを展開するヤム・チャイナ・ホールディングスは5.27%急落。同社はウイルスの発生地である湖北省武漢市内の数店舗を一時閉鎖すると発表した。[nL4N29W0FG]

リスク回避の動きから安全資産とされる米国債が買われ、利回りが低下。銀行株が圧迫され、S&P500銀行株指数<.SPXBK>は1.42%下落した。[nL4N29W2GO]

S&Pエネルギー株指数<.SPNY>は2.76%安。新型肺炎の感染拡大により需要が減退するとの懸念から原油価格が下落したことが背景。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.63対1の比率で上回った。ナスダックでは3.25対1で値下がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は81億1000万株。直近20営業日の平均は73億1000万株。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 28535.80 -453.93 -1.57 28542.49 28671.79 28440.47 <.DJI>

前営業日終値 28989.73

ナスダック総合 9139.31 -175.60 -1.89 9092.46 9185.45 9088.04 <.IXIC>

前営業日終値 9314.91

S&P総合500種 3243.63 -51.84 -1.57 3247.16 3258.85 3234.50 <.SPX>

前営業日終値 3295.47

ダウ輸送株20種 10796.83 -263.01 -2.38 <.DJT>

ダウ公共株15種 929.65 -2.29 -0.25 <.DJU>

フィラデルフィア半導体 1848.86 -75.17 -3.91 <.SOX>

VIX指数 18.21 +3.65 +25.07 <.VIX>

S&P一般消費財 975.64 -15.11 -1.52 <.SPLRCD>

S&P素材 367.40 -7.88 -2.10 <.SPLRCM>

S&P工業 691.38 -13.15 -1.87 <.SPLRCI>

S&P主要消費財 651.35 -2.08 -0.32 <.SPLRCS>

S&P金融 496.28 -7.75 -1.54 <.SPSY>

S&P不動産 247.14 -1.03 -0.42 <.SPLRCR>

S&Pエネルギー 417.87 -11.84 -2.76 <.SPNY>

S&Pヘルスケア 1184.21 -9.04 -0.76 <.SPXHC>

S&P通信サービス 185.29 -3.19 -1.69 <.SPLRCL>

S&P情報技術 1670.68 -40.43 -2.36 <.SPLRCT>

S&P公益事業 346.20 -1.05 -0.30 <.SPLRCU>

NYSE出来高 10.40億株 <.AD.N>

シカゴ日経先物3月限 ドル建て 23050 - 260 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物3月限 円建て 23030 - 280 大阪比 <0#NIY:>

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、中国製半導体に関税導入へ 適用27年6月に先送

ワールド

トランプ氏、カザフ・ウズベク首脳を来年のG20サミ

ワールド

米司法省、エプスタイン新資料公開 トランプ氏が自家

ワールド

ウクライナ、複数の草案文書準備 代表団協議受けゼレ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 9
    砂浜に被害者の持ち物が...ユダヤ教の祝祭を血で染め…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中