ニュース速報

ビジネス

為替と関税の影響、マクロ経済推計は過小評価の公算=英中銀委員

2019年10月29日(火)13時08分

 10月28日、イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のテンレイロ委員は、貿易の流れに外国為替相場と貿易障壁は引き続き大きな役割を果たし続けるとし、マクロ経済推計では関税措置の影響が過小評価されている可能性があるとの見解を示した。写真はイングランド銀の建物。ロンドンで2013年8月撮影(2019年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 28日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のテンレイロ委員は28日、貿易の流れに外国為替相場と貿易障壁は引き続き大きな役割を果たし続けるとし、マクロ経済推計では関税措置の影響が過小評価されている可能性があるとの見解を示した。

テンレイロ委員は英中銀で行った講演で「国際貿易におけるドルの支配的な役割は重要な現象だ」とし、「外為相場は輸出量に重要な役割を果たす」と述べた。

また、米中が相互に導入している関税措置に言及し、貿易障壁の影響は純粋なマクロ経済予測よりも大きい可能性があると指摘。「米国のように規模が大きい経済も成長が阻害される可能性がある」とし、「信頼感の低下と不確実性の増大で当初の影響が拡大されれば、全般的な減速は悪化する。こうしたことは規模が小さい経済に対してより重大となる」と述べた。

この日の講演では英中銀の金融政策見通しについては言及しなかった。

同委員は、銀行部門が大量の国債を保有することに伴う世界経済のリスクにも注目。ユーロ圏債務危機の根底にはこの問題があったが、イタリアでは現在もこの問題が懸念要因となっている。

銀行が国債を保有し政府が銀行を救済するという「破滅のループ」については、融資が減り、景気が鈍化し、財政が悪化するという懸念があるが、同委員は、銀行が自国の国債を保有する重要なメリットもあると指摘。

「銀行が保有する政府資産を様々な国に完全に分散すれば、戦略的なデフォルトのループが起きるリスクがある」とし「国債の大部分を国内銀行が保有していれば、返済しようという政府のインセンティブが高まる」と述べた。

*内容を追加し、カテゴリーを広げました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米

ビジネス

米FRB、「ストレステスト」改正案承認 透明性向上
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中