ニュース速報

ビジネス

景気判断を下方修正、消費増税・台風の影響留意=10月月例経済報告

2019年10月18日(金)17時44分

 10月18日、政府は、10月の月例経済報告で、景気の総括判断を「輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」として、前月の判断「景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している」を5カ月ぶりに下方修正した。写真は台風19号により、水没した車。長野県で14日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 18日 ロイター] - 政府は18日、10月の月例経済報告で、景気の総括判断を「輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している」として、前月の判断「景気は、輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している」を5カ月ぶりに下方修正した。世界経済の減速による輸出回復の遅れに加え、消費増税後の消費者マインドや、台風19号の影響を注視するとの文言を加筆し、景気の下振れリスクを強調した。

今年、総括判断を下方修正したのは、3月、5月に続き3度目となる。最大の要因は輸出・生産の低迷。項目別では「生産」の判断を、前月の「横ばいとなっているものの、一部に弱さが続いている」から「このところ弱含んでいる」に引き下げた。輸出数量ベースで半導体は下げ止まり感が確認できるものの、工作機械などの資本財や自動車・自動車部品の減少が続いており、鉱工業生産全体の減少トレンドが明確になっているためだ。

企業の「業況判断」も、前月の「製造業を中心に慎重さが増している」との表現に「引き続き」との文言を加えることで下方修正した。日銀短観で製造業の設備不足感が解消されたことなどを反映した。

このほか、先行きのリスクに関する記述を増やした。海外リスクに関し、前月は「海外経済の動向と政策に関する不確実性」としていたが、今月は「英国の欧州連合(EU)離脱の行方等の海外経済の動向」と詳述した。

また10月からの消費増税を踏まえ「税率引き上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある」と指摘。更に「台風19号など相次ぐ自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要がある」としている。

他の個別項目は、いずれも据え置いた。個人消費についても「持ち直している」との判断を維持した。消費者態度指数は、前回消費税率を引き上げた2014年と似たトレンドで下落しているものの、実質総雇用者所得や消費総合指数がトレンドとして改善を継続している点を重視した。

増税前の駆け込み需要は、9月にエアコンなどで見られたが、14年と比べ駆け込みの時期が短く、反動も大きくないと期待している。

内閣府では現時点で、消費者マインドの悪化は世界経済減速に起因するとの見立てが主流で、世界経済の動向が引き続き最大のリスク要因だ。

加えて台風19号の被害も新たなリスク要因。河川氾濫による工場の操業停止や物流停滞、りんごなど農林水産業の被害の影響を注視している。北陸新幹線や箱根登山鉄道の不通で観光にも相応の影響があり得ると注視している。

(竹本能文)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英CPI、10月3.6%に鈍化 12月利下げ観測

ビジネス

インドネシア中銀、2会合連続金利据え置き ルピア安

ワールド

政府・日銀、高い緊張感もち「市場注視」 丁寧な対話

ビジネス

オランダ政府、ネクスペリアへの管理措置を停止 対中
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中