ニュース速報

ビジネス

今年の世界経済、貿易や投資回復で7年ぶり高成長=OECD見通し

2018年03月13日(火)22時43分

[パリ 13日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)が発表した世界経済見通しによると、2018年の成長率は貿易や投資の回復により7年ぶりの高成長になるとみられている。一方で貿易戦争は改善見通しを下押す可能性があるとの見方を示した。

主要20カ国(G20)経済見通しの見直しでOECDは、18・19年の世界成長率見通しを2011年以来の高水準となる3.9%とし、従来の3.6%から上方修正した。減税による米国経済押し上げが一因という。

OECDのペレイラ首席エコノミストは、「今後2-3年は景気は強いと考えている。過去10年に比べると一段と常態に戻りつつある」と述べた。

世界的に企業投資が回復しており、今年の貿易の伸びは5%程度と見込んでいる。しかしトランプ米政権の鉄鋼・アルミ関税など通商摩擦による悪影響も指摘。「景気回復にとって大きなリスク」(ペレイラ氏)との見方を示した。

今年の米国成長率は2.9%、19年は2.8%と見込み、減税による押し上げ幅はそれぞれ0.5-0.75%ポイントとみている。

インフレ高進で連邦準備理事会(FRB)は今年4回利上げするとペレイラ氏は見込んでいる。OECDはこれまで年内3回と見通していた。

OECDは減税措置により18年と19年は経済が押し上げられるとみられることから、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の上限は現在の1.5%から19年末までに3.25%に引き上げられる可能性があるとしている。

フランスとドイツが好調でユーロ圏の成長率は今年2.3%、来年は2.1%に上方修正した。

ドイツでは連立政権樹立合意による財政支出が見込まれるため、今年の成長率は2.4%、来年は2.2%に上方改定。

社会福祉、税制、労働市場改革によりフランスの今年の成長率は11年ぶり高水準の2.2%に、来年は1.9%に同じく上方修正した。

OECDは、ユーロ圏経済が堅調に推移するなか欧州中央銀行(ECB)は債券買い入れを年末に向け段階的に縮小させ、最終的にはマイナス金利政策を解消するとの見方を示した。

欧州連合(EU)離脱の影響で英国の成長率は今年G20で最低の1.3%となる見通し。ただ11月の1.2%からは上方修正した。19年は1.1%と前回と変わらず。OECDは英国ではインフレ高進により家計所得が目減りし、EUとの将来的な関係が不透明となるなか企業投資は減速するとの見方を示している。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BMW、第2四半期販売は小幅増 中国不振を欧州がカ

ワールド

ロシアに関する重要声明、14日に発表とトランプ米大

ワールド

ルビオ長官、11日にマレーシアで中国外相と会談へ 

ワールド

UAE、産油能力を一段と拡大する可能性も=エネルギ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中