ニュース速報

FRB、今後の政策の道筋巡り依然隔たり=9月議事要旨

2019年10月10日(木)07時42分

[ワシントン 9日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が9日公表した9月17─18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、大半のFOMCメンバーが9月利下げの必要性を支持したものの、先行きの金融政策の道筋については依然として意見が分かれていることが示された。

議事要旨では、最近の短期金利の乱高下を抑制するための方策が議論されたことも明らかになった。

FRBは9月のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75─2.00%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを7対3で決定した。

議事要旨は「大半の参加者がFF金利の誘導目標を25bp引き下げることが適切であるとの見方だった」とした。

ただ、それ以外の議論は大方意見が分かれた。メンバーは中国をはじめ他国と通商政策で緊張感が高まっていることや、世界経済の減速、英国の欧州連合(EU)離脱などが及ぼすリスクへの不安が高まったとしたが、米経済への影響に関しては異なる見解を示した。

数人の当局者がリスクへの予防策として今利下げすることが賢明だとする一方、他の当局者は米経済見通しを踏まえると利下げは正当化できないと主張した。議事要旨によると、後者は「先行き不透明感の主な要因は近いうちに解決する可能性は低い。こうした先行き不透明感は米経済の拡大を阻む要因ではないため、現時点でさらなる金融緩和が必要とは思わない」との見解を示した。

数人の当局者は、中期的に景気後退に陥る可能性がここ数カ月間で高まったことを統計モデルが示唆していると指摘。何人かは、労働省が公表した改定後の統計に言及し、2019年初めの労働市場の状況は当初思ったほど良くなかったと警告した。

FRBは今年2回の利下げを実施。それまでは15年以降9回にわたり金利を引き上げてきた。この日の議事要旨は、今後の政策で意見が割れているという点で9月の会合後の声明と一致する。

9月の会合では17人の政策当局者のうち7人が年内にあと1回利下げがあるとの見通しを示した。5人は金利据え置き、残り5人は年内に利上げが必要になるとの見方を示した。大半の投資家はFRBが10月29―30日の会合でも利下げを決定するとみている。

パウエルFRB議長と何人かの当局者は、これまでの利下げが過去最長期間続く景気拡大を維持するために必要な策と見なしている。

パウエル議長は8日、FRBが「適切に」行動するとの見解を繰り返し、リスクを和らげるためにさらなる利下げの準備があることを示した。

一方、ボストン連銀のローゼングレン総裁やカンザスシティー連銀のジョージ総裁らは、米経済が緩やかに伸び失業率が50年近くぶりの低水準である中で利下げは必要ないとの見方だ。

バンクレート・ドット・コムのシニア経済アナリスト、マーク・ハムリック氏は、議事要旨は、FOMC内で既にみられる見解の相違や、大荒れとは言わないまでも雲行きが怪しい景気の先行きと一致する内容だったと指摘した。

トランプ大統領はここ数カ月、FRBを常にやり玉にあげている。9月の会合前は、利下げが足りないとしてFRB当局者を「愚か者」と呼び、9日もツイッターで「米経済はFRBの政策にもかかわらず順調だ」と批判した。

9月の会合以降に発表された経済統計は軟調で、貿易摩擦の影響がより広範な経済に波及しているとの不安が高まっている。9月は米製造業活動が10年超ぶりの低水準に低迷したほか、サービス業活動は3年ぶりの低水準だった。

米経済をけん引してきた個人消費も減速し始めた。

このところの短期金融市場の乱高下についても議論された。流動性を見る上で主要な基準であるレポ取引の金利は9月17日に10%に上昇し、08年の金融危機以来の水準を記録。企業や銀行、その他の借り手による翌日物レポの需要が供給を上回った。短期市場安定化に向けてニューヨーク連銀は11月4日までレポ取引を通じて毎日資金を市場に注入している。FF金利を目標範囲内に収める狙いだ。

一部の投資家や元FRB当局者は、レポ市場で常設資金供給ファシリティーの創設やFRBのバランスシート拡大といった長期的な解決策を導入するようFRBに促している。レポ市場の資金供給ファシリティーを創設することで企業は必要な際に固定金利で借り入れできる。

9月会合では、最近の短期金利の大幅変動を踏まえ、短期金融市場に潤沢に資金供給をするため、FRBのバランスシート拡大について近く議論する必要があるとの見解で一致した。ただ当局者は、そうした措置は過去の大規模資産購入とは異なるということを明確にすべきだとした。

パウエル議長は8日、FRBが「徐々に準備金を増やす対策を近いうちに発表する」とした。バランスシート再拡大は景気刺激策ではなく、一般のキャッシュ需要、銀行の準備金需要を満たすための対策と解釈するべきだと強調した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

新発10年債利回り2.24%に上昇、27年ぶり高水

ビジネス

25年の中国GDPは5.0%で政府目標達成:識者は

ビジネス

焦点:パウエル氏、慣例破り理事続投か FRB独立性

ビジネス

中国新築住宅価格、12月も下落 前年比-2.7%に
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中