ニュース速報

WTO、米国の対EU報復関税を承認 航空機補助金巡る対立で

2019年10月03日(木)02時41分

[ロンドン/ブリュッセル/ジュネーブ 2日 ロイター] - 航空機への補助金を巡る米国と欧州連合(EU)との対立を巡り、世界貿易機関(WTO)は2日、欧州航空機大手エアバスに対するEUの補助金は違法として、米国が75億ドル相当の欧州製品に輸入関税をかけることを承認した。

欧米はエアバスと米ボーイングに対する補助金について互いに不当と主張し、相互に関税措置を準備している。ロイターは先週、関係筋の話として、航空機補助金を巡り、WTOが米国にEUへの報復関税を認めたと報じていた。

WTOの3人の仲裁人から成る小委員会は、エアバスの超大型旅客機「A380」などに対する欧州政府の補助金により、米国は年間75億ドル相当の損害を被ったと指摘。米国側に75億ドル相当の欧州製品に対する関税を認めたが、金融サービスへの関税賦課は除外された。

これを受け、欧州委員会は米国の貿易制裁について「近視眼的で非生産的」と主張。米当局者からのコメントは得られていない。

WTOは2004年から続く航空機補助金を巡る欧米の対立で、エアバスとボーイングに対する数十億ドル規模の違法な補助金があったことをすでに認めており、来年早々にも米国製品に対するEUの輸入関税規模を決定する予定。

米国の関係者2人によると、米通商代表部は関税対象候補である250億ドル相当の品目リストから速やかに絞り込みを行う見込み。同品目リストにはエアバスの航空機自体やヘリコプター、ワイン、蒸留酒、ハンドバック、チーズなどが含まれている。

関税賦課に先立ち、WTOの紛争解決機関は仲裁人の報告書を正式に採択する必要があり、手続きには10日間から4週間かかるとみられている。

紛争解決機関の次回会合は10月28日の予定だが、米政府は仲裁人の報告書が公表されてから10日後に特別会合を要求できる。早ければ公表から10日後の次営業日に当たる10月14日に最終承認される可能性がある。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中