ニュース速報

チリ中銀、半年以内に再利下げの可能性=総裁

2019年09月12日(木)15時57分

[11日 ロイター] - チリ中央銀行のマルセル総裁は11日、ロイターのインタビューで、中銀が6カ月以内に今年3回目となる利下げに向かう可能性はあるが、マイナス金利や量的金融緩和といった極端な政策の導入への道は引き続き遠いと強調した。

世界最大の産銅国のチリは米中通商紛争の影響を受けている上、過去60年で最悪の干ばつに見舞われている。政府は財政刺激策の可能性を模索。中銀も6月と9月に利下げを実施し、政策金利は9年ぶりの低水準である2%となっている。

総裁は「特に心配なのは米中通商紛争、それから英国の欧州連合(EU)離脱といった世界的な緊張が通商、金融市場、事業見通しに及ぼす影響だ」と述べた。「チリ中銀は、消費や投資といった需要が想定よりも鈍ければ、ある程度の追加金融緩和措置を準備するだろう」とした。

中銀は今後、コアインフレのデータ、とりわけ景気の動きを敏感に映すサービスのインフレを注視する。

中銀の年内の政策決定会合のスケジュールは次回が10月末、その次が12月10日でこれが年内最後となっており、12月の会合では経済見通しを盛り込んだ四半期ごとの金融政策報告を公表する。

総裁は次回の政策決定について、必ずしも新しい経済見通しのタイミングということではなく、経済指標で短期見通しがどれだけ裏打ちされるかを重視する考えを示した。

チリ中銀は9月公表の金融政策報告で今年の成長率見通しを従来の2.75─3.5%から2.25─2.75%に引き下げている。

総裁は、9月初旬の前回会合以降、消費者物価指数や失業率など主要な経済指標は「ほぼ」予想に沿った動きを示したと指摘。「状況の悪化は見られないが、予想を上回る改善も見られない。ただ、まだ判断を下すには時期尚早で、様子を見ている」とした。

隣国アルゼンチンで通貨が急落して景気が悪化し、資本規制が導入されたことについては、チリへの影響は「あったとしても非常に小さい」と述べ、両国は通商や金融面の関係がかなり限られるとした。

欧州中央銀行(ECB)などは近々、マイナス金利の深堀りに動く見通しとなっており、トランプ米大統領も米連邦準備理事会(FRB)にマイナス金利の導入を求めた。しかしマルセル総裁はチリではこうした政策はまったく視野に入っていないと強調した。

その上で「量的金融緩和などの検討は早計だ。チリ中銀にはまだ金利に操作の余地がある」とした。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、「第三世界諸国」からの移民を恒久的に停止へ

ワールド

中国万科をS&Pが格下げ、元建て社債は過去最安値に

ワールド

鳥インフルのパンデミック、コロナ禍より深刻な可能性

ワールド

印マヒンドラ&マヒンドラ、新型電動SUV発売 
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中