ニュース速報

米株は工業株主導で下落、通商巡る緊張続く

2019年05月18日(土)06時42分

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米国株式市場は下落して取引を終えた。通商面での緊張が続き、工業株やハイテク株が軟調に推移した。

主要3株価指数は方向感の定まらない展開が続いていたが、米中通商協議が行き詰っているとCNBCが報じると下げに転じた。

週間ではダウが3年ぶりとなる4週連続安。S&P500とナスダックは2週連続で下落した。13日の急落を取り戻すことはできなかった。

チェース・インベストメント・カウンセル(バージニア州)のピーター・タズ社長は「週末の株安は珍しいことではない」と指摘。「週末に何か報じられる可能性があるため、投資家は資金を引き揚げやすい」と述べた。

この日は中国側の反応を受けて米国との通商を巡る緊張が悪化。中国外務省の報道官は定例記者会見で、意味のある通商交渉にするためには、米国側が誠意を示さなければならないと強調した。

米国を取り巻く貿易摩擦は多方面に広がっており、対中以外では、米国は輸入自動車や部品に対する関税の判断を最大6カ月延期すると正式に発表。また、トランプ米大統領はカナダとメキシコに対する鉄鋼・アルミニウム輸入関税を撤廃することで合意したと発表した。

通商関係のニュースを受け、好調な米経済指標の影響は限定的。米ミシガン大学が17日公表した5月の消費者信頼感指数(速報値)は102.4で、前月から5.3%上昇し、2004年以来の高水準となった。

タズ氏は「決算期が過ぎ、市場は予測や利用が困難なマクロ要因に視点をシフトさせているようだ」とし、「このような環境下では市場はより上下に振れやすくなる」と述べた。

貿易摩擦は工業株にも影を落とした。米農業機械メーカーのディアは7.7%安とS&P500構成銘柄で値下がりトップ。米中貿易摩擦で農業産業が打撃を受け、農業機械に対する需要が損なわれる恐れがあるとして、通年業績見通しを下方修正した。

キャタピラー、3M、テクストロン、ゼネラル・ダイナミクス、フェデックスが軒並み安。S&P工業<.SPLRCI>は1.1%安となった。

S&P主要11業種では、S&P公益事業<.SPLRCU>を除く10セクターが下落。S&P工業とS&Pエネルギー<.SPNY>が最も値下がりした。

個別銘柄では、米スポーツ用品小売アンダーアーマーが7.8%高。JPモルガンが投資判断を「オーバーウエート」に引き上げた。

一方、画像共有サイトのピンタレストは13.5%安。同社が16日に示した2019年通年の売上高見通しはアナリストの予想とほぼ一致。ただ最近上場し、株価動向が好調な同社への期待は高く、投資家の失望を誘った。

米国市場に新規株式公開(IPO)した中国のコーヒーチェーン大手ラッキンコーヒーは公開価格比19.9%上昇した。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.96対1の比率で上回った。ナスダックでも2.52対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約67億1000万株。直近20営業日の平均は69億8000万株。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 25764.00 -98.68 -0.38 25719.9 25948.7 25657. <.DJI>

5 4 78

前営業日終値 25862.68

ナスダック総合 7816.29 -81.76 -1.04 7829.03 7918.71 7810.3 <.IXIC>

5

前営業日終値 7898.05

S&P総合500種 2859.53 -16.79 -0.58 2858.60 2885.48 2854.2 <.SPX>

3

前営業日終値 2876.32

ダウ輸送株20種 10491.85 -113.76 -1.07 <.DJT>

ダウ公共株15種 790.23 +3.91 +0.50 <.DJU>

フィラデルフィア半導体 1402.01 -28.10 -1.96 <.SOX>

VIX指数 15.96 +0.67 +4.38 <.VIX>

S&P一般消費財 919.56 -7.43 -0.80 <.SPLRCD>

S&P素材 342.01 -1.71 -0.50 <.SPLRCM>

S&P工業 629.36 -7.01 -1.10 <.SPLRCI>

S&P主要消費財 593.50 -1.12 -0.19 <.SPLRCS>

S&P金融 445.52 -2.67 -0.60 <.SPSY>

S&P不動産 226.39 -0.38 -0.17 <.SPLRCR>

S&Pエネルギー 468.23 -4.96 -1.05 <.SPNY>

S&Pヘルスケア 1021.94 -1.71 -0.17 <.SPXHC>

S&P通信サービス 164.76 -0.79 -0.48 <.SPLRCL>

S&P情報技術 1320.19 -10.93 -0.82 <.SPLRCT>

S&P公益事業 296.96 +1.43 +0.48 <.SPLRCU>

NYSE出来高 9.17億株 <.AD.N>

シカゴ日経先物6月限 ドル建て 21235 - 35 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物6月限 円建て 21225 - 45 大阪比 <0#NIY:>

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベラルーシ大統領、米との関係修復に意欲 ロシアとの

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ワールド

ロシア中銀、欧州の銀行も提訴の構え 凍結資産利用を

ビジネス

英中銀、5対4の僅差で0.25%利下げ決定 今後の
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中