ニュース速報

鴻海の郭会長、台湾総統選出馬を表明 「平和・安定・経済」重視

2019年04月18日(木)02時49分

[台北 17日 ロイター] - 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は17日、2020年1月の台湾総統選挙に出馬すると正式に表明した。対中融和路線の野党・国民党の予備選挙に参加する。

郭氏はこれに先立ち、自身が生まれ育った新北市板橋にある寺院「慈恵宮」で、100人超の群衆を前に、この寺院に祭られる台湾で有名な海の女神「媽祖」が2日前に夢に現れ、立候補するよう告げられたと語った。

「媽祖は私に『苦しむ人々のために良い行いをし、若者に希望を与え、台湾海峡の平和に貢献すべきだ』と語りかけた」と説明し、その指示に従うと表明した。

郭氏はその後、台北の国民党本部で「平和、安定、(台湾の)経済の将来が私の基本的価値観だ」と述べた。

その上で同党に対し、国民党の精神、国民党員の名誉、国民党の失われた若者の支持を取り戻すよう求めた。

郭氏は16日、次の台湾総統選挙に出馬するかどうかを検討中と明らかにしていた。

鴻海は、郭氏が日常業務から身を引く予定としつつ、会長職にはとどまると説明。専門管理職チームが日常業務を担うとして、業務はこれまで通り続けられると示唆した。

郭氏の出馬正式表明を控え、同社の株価は2.1%値上がりして引けた。

蔡英文総統のシニアアドバイザーを務める姚嘉文氏はロイターに対し、郭氏に中国との幅広いビジネス上のつながりがあることを考慮すれば、同氏の出馬は問題を引き起こす可能性があると指摘。「台湾の安全保障にとって問題だ。彼(郭氏)はかなり親中国的であり、富裕層を代表している。台湾人から支持を得られるだろうか」と述べ、国民党の予備選挙で苦戦するとの見方を示した。

嶺南大学(香港)の地域安全保障アナリスト、張泊匯氏は、郭氏の出馬により台湾の歴史において最も異例の選挙戦が始まりそうだと指摘。ロイターに対し「台湾政治にとって全く新しいものだ。(郭氏は)生身の政治学やイデオロギーではなく、実業家の現実的な視点で物事を見る候補者だ。興味深いシナリオになるだろう」と語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中