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イーロン・マスクはオープンAIの創業メンバーだが、舵取りをアルトマンに任せて手を引いた。「帝国主義的なアプローチ」と巨大な野心がアルトマンと共通する DAVID PAUL MORRISーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

彼はまた「効果的な利他主義(EA)」という、テクノロジー業界のエリートが好む実利主義的哲学の信奉者だった。EAにおいては「EAの信奉者こそが最もうまいカネの使い方を知っている」という考え方に基づき、ほぼあらゆる手段を用いて多額のカネを儲けることが正当化された。そのイデオロギーは、現在よりも未来を優先し、いつか人類と機械が融合し、AIが人類を超えるシンギュラリティー(技術的特異点)に達すると夢想するものだった。

15年、こうした思想的枠組みから、アルトマンはイーロン・マスクら5人と共に非営利組織としてのオープンAIの共同創業者となった。「あらゆるやり方で人間のように考えることができ、そのことを人類の最大の利益のために使うことのできるコンピューター」を作ることが、組織の使命として掲げられた。その根っこには、たちの悪い人間たちがたちの悪いAIを作る前に「善き」AIを作り、この分野を独占してしまおう、という考えがあった。

さらにオープンAIはEAの価値観に基づき、研究成果をオープンソース化すると公約した。同じような価値観を持つ第三者が先にAGI(汎用人工知能)の創出に近づいた場合には、そのプロジェクトを支援するともしていた。

数年間、アルトマンはYCの仕事も並行して続けていた。支援している新興企業の創業者たちに毎日、メッセージや電子メールを山と送り、返事が来るまでどのくらいかかるかチェックしていた。本人のブログによれば、「偉大な創業者と並の創業者の大きな違い」は応答時間に表れるという信念があったからだ。

18年初めにマスクは、オープンAIがグーグルに後れを取りつつあると主張し、自分が主導権を握ろうとした。だがマスクは2月にオープンAIを去り、その後、アルトマンがトップに立った。

アルトマンの下で19年春、オープンAIは営利企業の子会社を設立した。AI開発には非常にカネがかかるので、アルトマンには資金が必要だった。夏までに、彼はマイクロソフトから10億ドルの出資を受けた。当初掲げていた「人類の最大の利益」を目指すという使命からそれてしまったことにショックを受けて、社を去った従業員もいた。だが、路線変更に怒る人はむしろ少数派だった。

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AIから生じた問題の解決へ

アルトマンは新会社の株式を持とうとしなかったし、当初、出資者に対する最高利回りは100倍に抑えられていた。これについては表面を取り繕っているだけだと感じた人が多かった。だが、アルトマンの友人は言う。「もし(民主党の)エリザベス・ウォーレン上院議員がやって来て『オープンAIを利益志向に変えた悪しきテクノロジー業界人め』と言ったとしても、テクノロジー業界の人間には全く響かないだろう」

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