<欧米やロシアを翻弄しながら自己利益を追求するエルドアン>

トルコは「グローバルサウス」の一員と見なされることが多い。そして、人はトルコをアナトリア半島に押し込められた元オスマン帝国の残骸だと思って軽んじる。

だがトルコは、世界に数ある「旧帝国」の中ではほぼ唯一、上り調子の存在だ。それは、「グローバルサウスの一員」とは言えない。

EUとの経済的関係、NATOの一員としての軍事的地位を重視しつつ、大国にもなびかず、一国で存在感を示す。カフカス、中央アジアといった元オスマン帝国の領域での勢力回復にも余念がない。トルコはこの地域をTuran(トュラン)と呼び、文化的な一体性を打ち出す。

欧米からすれば、トルコがグローバルサウスの一国のように見えるのは、1つにはウクライナ戦争でトルコが西側と足並みをそろえぬ独自外交を展開したからだろう。

だがトルコは従来、その外交で我を貫いてきた。アメリカは2003年、トルコ領からイラクに米軍を進発させることを拒絶され、作戦の練り直しを迫られた。NATOではアメリカに次ぐ規模の陸軍力を有し、周辺に自国を脅かす大国はなく、アメリカの機嫌を損ねても問題ない。

19年にはアメリカに最新鋭F35戦闘機開発計画からの排除を警告されながらも、アメリカに敵対するロシアから地対空ミサイルS400を購入した。22年には、スウェーデン、フィンランドのNATO加盟に横やりを入れ、クルド人反乱分子の扱いで自国の要求を通している。

トルコはGDPではロシアに及ばないが、自動車や電機、建設業を中心に資源に依存しない経済力を有している。対ウクライナに注力するロシアを尻目にカフカスや中央アジアでの勢力を着々と回復してもいる。10年には同族国のアゼルバイジャンと一種の軍事同盟協定を結び、カフカスにロシア以上の地歩を築いた。上海協力機構(SCO)ではオブザーバーの資格を得て、昨年9月の首脳会議では加盟国を尻目に主役顔で振る舞う姿が印象的だった。

ロシアはトルコの機嫌を損ねれば、ボスポラス海峡を閉鎖され、黒海艦隊は地中海での行動を制限される。トルコはロシアによる南ヨーロッパ向け天然ガス・パイプラインの通り道でもあり、ロシア経済はトルコに依存せざるを得ないのだ。

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