<市場経済のままではウクライナ侵攻の継続は困難と、土地や工場などすべての「戦略物資」を政府の管理下におく「軍事社会主義」に移行すべきと、国営放送で専門家が提言>

ロシアの軍事アナリスト、コンスタンチン・シブコフは5月7日、ロシアの現在の体制はウクライナへの軍事侵攻を支えるには不十分だと論じ、「軍事社会主義」とでもいうべき新制度に移行すべきだと国営放送で主張した。

「現在の市場経済体制は、現在のような状況下で軍隊と国全体のニーズを満たすには不適当である。われわれは別の体制に移行する必要がある。私はそれを仮に『軍事社会主義』と呼ぶ」と、シブコフは視聴率が高いロシア国営放送で語った。「土地、工場、その他すべての戦略的資源は例外なく、政府の管理下に置き、中央が管理する計画に従って開発されなければならない」

シブコフはまた、戦争中にロシア軍が使用する砲弾やミサイルを「生産する必要がある」と指摘。「早急に、産業を戦時体制に組み込まなければならない」と述べた。


最低でも1日5万発の砲弾が必要だが足りない、と話すシブコフ

シブコフの発言の動画は、ロシアのメディアを専門とする米ニュースサイト「デイリービースト」のコラムニスト、ジュリア・デービスがツイッターに投稿した。7日の夕方時点で再生回数は25万回近くに達している。

デービスは動画をこう紹介している。「ロシアの国営テレビでは、ロシアの現在の経済体制は軍隊のニーズを満たすのに適していないという軍事専門家による懸念が紹介されている。ある軍事専門家は、政府がすべてを管理する『軍事社会主義』と『戦時経済』への移行が急務だと唱えている」

大規模動員への布石?

シブコフの発言は、ロシアがウクライナ侵攻に何億ドルも費やしていることを受けてのもの。本誌に提供されたある分析によると、ロシアが軍事攻勢を維持するためのコストは、1日あたり約9億ドルに及ぶ。

軍事ニュースに特化した米メディア「SOFREP」の編集長ショーン・スプーンツによれば、これには武器や破損した装備の修理、兵士への給与といった費用が含まれる。

「軍事社会主義」を求めるシブコフの発言が放映されたのは、5月9日の戦勝記念日(ナチスドイツに対する勝利を祝うロシアの恒例行事)の2日前のこと。記念日当日には、ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」から戦争に格上げし、大規模な兵力動員を発表するのではないか、との憶測も流れている。

ロシアはウクライナに対する公式の宣戦布告を否定しているが、ロシア政府が「戦時動員の専門家」を募集していたのは本誌も報じた通りだ。

モスクワにある経済政策研究所の研究員セルゲイ・ジャボロンコフは7日、米系ラジオ局自由欧州放送で、プーチンが大規模な動員を発表すれば、ロシア国民の支持を失うことになりかねないと述べた。

「ロシア国内におけるウクライナ侵攻への熱意は急激に低下するだろう」と、ジャボロンコフは語った。「戦争が面白いコンピュータゲームのようなものであるうちはいいが、多くのロシア人が直接影響を受けるとなれば、話は別だ」

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