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昨年8月、銃を手に「自警団」気取りでケノーシャに乗り込んだカイル・リッテンハウス(写真の左) AP/AFLO

一方で「敵の報復」を恐れる極右もいて、彼らの警戒感は無罪評決で一層高まったと、クラークはみる。

「私が懸念しているのは、むしろそうした感情だ。それは以前からあったが、無罪評決で一段と強まった。リッテンハウスの有罪を主張する人たち、特にBLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動の支持者たちが何らかの報復に出る、という警戒感だ」

ウィスコンシン州では11月21日にクリスマスパレードに車が突っ込む惨事が起きたが、この事件は一部の極右を震え上がらせた。

「容疑者が黒人で、被害者はおおむね白人だったため、これは黒人の逆襲に違いないと、極右は受け止めたのだ」と、ホルトは説明する。

この事件で逮捕された男は家庭内トラブルの通報があった現場から逃走中だったと警察が発表したが、その時には既に彼とリッテンハウスを結び付けるプロパガンダが広がっていた。

「彼らは(黒人や左派が)自分たちを襲撃すると思い込んでいる」と、ホルトは言う。

さらに始末の悪いことに、極右は「(敵に狙われやすい)イベントに積極的に参加して、『正当防衛の状況』に進んで身を置くことが愛国的な行為だと思い込んでいる」のだ。

必要なのは冷静な対応

いま警戒すべきはそうした右派の「愛国的行為」だと、ホルトはみている。

「リッテンハウスが保守系メディアにもてはやされ、ヒーロー扱いされると、それに憧れてまねをする連中が出てくる。特に自己顕示欲や承認欲求が強い若者は『俺もああなりたい』と思うだろう」

一方で、ホルトは左派の反応も懸念する。

「(極右の)銃撃に備えて銃で武装してデモに参加する人が増えれば、(平和的なデモであっても)一触即発の危険が高まる」

クラークも同意見だ。

「軍拡競争を研究してきた私には断言できる。両陣営で銃を持つ必要性を感じる人が増えれば、身を守れるどころか誰もが危険にさらされる」

ホルトもクラークもそうした事態を危惧しているが、左派活動家がすぐにも対応を迫られるような差し迫った脅威はないと口をそろえる。

無罪評決を受けて、右派が祝賀ムードに沸くなか、米銃所有者協会は新しいAR15攻撃用ライフルをリッテンハウスに贈呈すると発表。またリッテンハウスはドナルド・トランプ前大統領に会うためにフロリダ州の別荘を訪れ、温かなもてなしを受けた。

この状況では左派が極右の襲撃を警戒するのは当然だ。

しかし被害妄想に陥るべきではないとホルトはクギを刺す。

「私は人々の恐怖をあおろうとは思わない。危険を察知し準備するのはいいが、疑心暗鬼になるのは考えものだ」

相手がのぼせ上がっているときほど、冷静な対応が求められる、ということだ。

©2021 The Slate Group

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