腸内にサナダムシを寄生させている人は、便に混じってサナダムシの卵も排泄する。この人が排便後に手を洗わずに調理をしたり、調理済みの食べ物に触れたりすれば、ほかの人にも感染を広げることになる。

卵が口から入り、孵化した幼虫がシストを形成すると、その後は何カ月、さらには何年も休眠状態を保っておとなしくしている。症状が出るのは通常、シストが死んで腐敗し、有害物質が滲み出たときだ。それによりシストの周りの組織が炎症を起こして腫れ上がり、周辺の部位を圧迫して、さまざまな症状を引き起こす。

38歳の男性の場合、体内にサナダムシの卵が入ったのは20年前だと、医師たちは推測している。

「症状の特徴、発作の前日まで健康だったこと、グアテマラの農村部に在住していた経歴から、神経嚢虫症が最も強く疑われた」と、論文は述べている。

神経嚢虫症は途上国に多い疾患だが、CDCの推定によると、アメリカでも毎年新たに約1000人が発症して入院している。報告件数が特に多いのはニューヨーク、カリフォルニア、テキサス、オレゴン、イリノイ州だ。

途上国では飲み水に注意

診断のつかない症状に苦しむ患者が神経嚢虫症と判明したケースが、ここ数年で何例か報告されている。突然割れるように頭が痛み、強烈な眠気に襲われ、一時的に意識を失った後、診断のつかない症状が次々に出たテキサス州の男性もその1人だ。

治療としては、抗寄生虫薬と抗炎症薬の併合投与が有効な場合もあるが、重篤なケースでは手術でシストを取り除かなければならない。対症療法にすぎないが、発作を抑えるために抗てんかん薬が処方されることもある。

予防のためには、トイレから出た後やおむつを替えた後の手洗いの励行など、特に食品を扱う際は衛生管理を徹底するよう、CDCは呼びかけている。また、生野菜はよく洗い、皮をむくよう奨励している。

途上国に旅行するときには水の汚染にも注意が必要だ。飲み水にはミネラルウォーターか一度沸騰させた湯を使うこと。ミネラルウォーターが買えないような奥地に旅するなら、携帯用浄水器と水質浄化用のヨウ素錠剤を持って行くよう、CDCは推奨している。

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