葬儀すらできない

詳細なデータもなく検査も行われていない状況では、高齢者介護施設での死亡例のうち、どの程度がCOVID-19によるものか、それとも季節的なインフルエンザや肺炎といった他の原因によるものかを正確に知ることは不可能である。

だが、高齢者介護施設は、病院において大半の重症患者が治療を受ける隔離された集中治療室とは条件が異なる。

現時点で、米国における新型コロナウィルスの感染拡大による死者が最も多いのはシアトル地域の介護施設であり、スペインではマドリードの検察当局が、患者グループの告発を受け、介護施設における17人の新型コロナウィルス関連死の捜査を進めている。

クレモナの介護施設従業員をまとめるCISL労組の現地担当者であるロベルト・デュシ氏は、アルツハイマー症などの疾患を抱える高齢者を他の患者と同じような形で治療することは、いずれにせよ不可能だ、と話す。

「アルツハイマー症のある人を入浴させる場合、自分の娘や息子と間違えて、こちらの身体に触れようとしたり、頭や顔を撫でようとしてくる」

「職員は、なぜ外に出られないのか理解できない人をなだめようとしている。『なぜ娘は会いに来てくれないのか。どうして誰も面会に来ないのか』と問われても、慰めるしかない」

家族にとっても、施設への来訪者が排除されるようになり、入所している親族に会って支援してやることもできないという現実があるため、いっそう辛さは募る。

2年前、キアラ・ジニさんの家族は、中程度のアルツハイマー症を抱えた81歳の伯母を「クレモナ・ソリダーレ」に入居させることを決めた。

「彼女は毎日、面会に来た自分の夫、つまり我々の伯父と昼食を共にしていた」とジニさんは言う。「彼女は毎日、私か彼女の兄弟、あるいは私の子どもたちの顔を見ていた」

来訪が禁止されたことで、面会は不可能になったが、少なくとも毎日電話することはできた。

「その後、伯母の体調が悪くなったために、電話でも話せなくなった。インフルエンザと言われていたが、看護師たちは患者の世話をするのに忙しく、家族からの電話を取ることさえできなかった」とジニさんは言う。

施設からジニさんの家族に連絡があり、伯母がインフルエンザに罹患したと告げられたのは、3月はじめ、施設への来訪が禁止されて約2週間後だった。そして先週、呼吸障害のため亡くなったという連絡が入った。

医療システムが限界に押しやられ、毎日数百人も出る死者により葬祭サービスも手一杯になっているため、遺体の検視や検査を行って新型コロナウィルスの感染を確認することもできない。

遺体は特別な防護用プラスチックバッグで包まれ、聖職者によって短い祈りが捧げられただけで、埋葬・火葬に付される。遺族が葬儀を行うには、集会規制が解除されるのを待たなければならない。

ジニさんは、「新型コロナウィルスの犠牲者は、愛する人々が周囲にいないままの生活を送り、その生涯を閉じていく。ちゃんとした葬儀もないままに」と語る。

(翻訳:エァクレーレン)

*記事の内容は執筆時の情報に基づいています。

[ミラノ 18日 ロイター]
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