※あのニュースはどんな業界に影響するのか、あの企業の株価が動いたのはなぜか……。連載「ニュースで読み解く!注目株」では、株式市場を知り尽くした執筆陣が、いま注目すべき銘柄や相場の展開を解説します。 

アメリカ中間選挙でトランプ大統領の共和党が歴史的な大敗を喫したことを受け、AI関連投資の先行きに対する懸念から株式市場は大きく揺れています。半導体関連銘柄を中心に売りが広がり、11月5日の日経平均株価は6%近くの大幅下落となりました。

これまでの株価上昇を見直す動きも強まる現在のような局面では、改めて、個別企業の業績と成長力を見極めたいところです。6年ぶりの本格的な値上げに踏み切ったサイゼリヤ<7581>は、その候補のひとつとなるかもしれません。

6年ぶりの値上げを株式市場が歓迎した理由

「非常に不本意ですけれども、値上げをせざるを得ないというふうに判断をいたしました」

イタリア料理のファミリーレストランを展開するサイゼリヤの松谷秀治社長が今回の値上げに際して語った言葉です。10月29日からメニュー全般で平均6%の値上げに踏み切り、看板商品の「ミラノ風ドリア」は300円から320円になりました。

一方で、ビールは400円から390円へ値下げ。値上げするものもあれば、値下げするものもある。松谷社長からは「隙あらば安くしたい」との発言も飛び出しました。「なんて顧客思いの会社なんだろう」と心を動かされ、早速、店に足を運んだのは筆者だけではないはず。

株式市場もまた、今回の値上げを歓迎しました。値上げ発表の翌日、サイゼリヤの株価は10%を超えて上昇し、低価格という強みを維持しながら収益力を高められる、との期待が広がりました。顧客第一の姿勢を貫いてきた会社は、値上げを機に新たな成長局面を迎えるでしょうか。

売上高3000億円突破も利益は伸び悩み

サイゼリヤは食材調達から店舗運営までを徹底的に効率化し、高品質と低価格を両立してきました。しかしながら近年は原材料価格の高騰や円安、人件費の上昇が収益を圧迫しています。

2026年8月期の売上高は前期比17.4%増の3015億円となり、初めて3000億円を突破したものの、営業利益は5.9%増の164億円にとどまり、会社計画の182億円を下回りました。売上高は大きく伸びているのに、利益がついてこないのです。

売上原価率は1.8ポイント上昇し、国内事業では円安による為替の影響だけで約32億円の減益要因が発生しました。これまで価格を据え置き、コスト削減で吸収してきましたが、それも限界に近づいていました。

そこで、今回の値上げです。「ミラノ風ドリア」は20円値上げしても320円。依然として手頃な価格であり、サイゼリヤの強みは失われません。客数を維持しながら客単価を引き上げられれば、売上高の増加が利益の拡大につながりやすくなります。

利益成長の鍵は、国内の収益改善とアジアの成長
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