※あのニュースはどんな業界に影響するのか、あの企業の株価が動いたのはなぜか……。連載「ニュースで読み解く!注目株」では、株式市場を知り尽くした執筆陣が、いま注目すべき銘柄や相場の展開を解説します。
花王<4452>がかつての「稼ぐ力」を取り戻しています。今期(2026年12月期)上期の営業利益は過去最高を更新し、通期の業績予想も上方修正しました。好調の要因は、単なる値上げ効果ではありません。2023年から進めてきた構造改革が実を結び始めたのです。
会社は、「稼ぐ力の改革」が定着して「利益ある成長ステージ」に入った、と自信を示しており、その業績回復はどうやら本物のようです。ただし、株価の一段高に向けては、化粧品事業や半導体関連事業が新たな成長エンジンとなれるかどうかがカギを握ります。
名門企業を襲った業績低迷
「いま振り返ればその好調さに甘んじ……」
花王の長谷部佳宏社長は、かつての経営をこう振り返っています。「アタック」「ビオレ」「キュキュット」など数々のヒット商品を持つ花王は、2019年まで7期連続で営業最高益を更新。この年の営業利益は2117億円に達しました。
しかしながら、コロナ禍による訪日客需要の消失、中国市場の低迷、原材料高などが直撃。2023年の営業利益は600億円と、ピーク時の3割以下に落ち込んでしまったのです。
追い込まれた花王が決断したのが、痛みを伴う構造改革です。この年の8月に中期経営計画を「K27」へ刷新。中国での紙おむつ生産からの撤退や不採算事業・商品の整理などを進めるとともに、547億円の構造改革費用を計上しました。
この費用を除いたコア営業利益は1147億円で前年(営業利益)を上回り、戦略的な値上げや高付加価値化といった収益改善の成果も表れ始めました。
業績で示された「稼ぐ力」の復活
その成果が鮮明となったのが、今年8月に発表された中間決算です。売上高は前年同期比7.8%増の8719億円、営業利益は同38.5%増の958億円となり、上期の過去最高を更新。営業利益率も前年同期から2.4ポイント改善して11%となりました。
営業利益には土地売却益115億円が含まれているものの、それを差し引いても843億円。2019年以来の高い水準です。注目したいのは、高機能・高付加価値商品の販売拡大によって収益性を改善している点です。また、国内の日用品事業では市場シェアも回復しています。
値上げによって顧客が離れるのではなく、商品価値を高めることで利益を確保する。花王の最大の強みである研究開発力とブランド力が、再び収益に結びついてきた、といえるでしょう。
会社は、2026年通期の営業利益予想を1820億円から1900億円へ上方修正。資本効率を示すROIC(投下資本利益率)の予想も10.5%と2027年目標の11%以上に近づいています。