困窮に耐えかねて生活保護を申請したものの、「クルマを手放してもらうことになるが、それでもいいのか」と言われ、申請を取り下げたシングルマザーもいるだろう。<表1>の右下を見ると、母子世帯の保護受給率が低いのは、クルマの必須度が高い地方県ばかりだ。

クルマの必須度は、世帯数あたりの乗用車保有台数で数値化できる。この指標を都道府県別に計算し、母子世帯の生活保護受給率<表1>との相関をとると<図1>のようになる。ご覧のように、右下がりの強いマイナスの相関関係がある。乗用車の保有台数が多い、つまりクルマの必須度が高い県ほど、母子世帯の保護受給率は低い傾向にある。
右下の県では、自家用車を取り上げられるのは困ると、保護の申請をためらうシングルマザーが多いのかもしれない。親族関係が強く経済的な支援を受けられる、という事情もあるかもしれないが、生活保護受給率が数パーセントという事実の裏には、「保護か、クルマか」の二択を迫られる問題がある可能性も疑うべきだ。左上の都市部の人口が多い都道府県では、公共交通網が発達しているのでこういう問題は少ない。
現場からの声を受けてか、ようやく国も「生活保護とクルマ」の問題に本腰を入れ始めた。就学前の子がいる一人親世帯が想定されているが、対象を広げることも検討するべきだ。子どもの発達段階に関係なく、通勤にクルマを使う世帯は多い。生存権の最後の砦である生活保護が、実質的に機能するようにしなければならない。