厚労省は、生活保護受給者が自家用車を持つための要件の緩和を検討するという。クルマがなければ生活が難しいと判断される地域に住む、就学前の子がいる一人親世帯が対象とのことだ。
生活保護を受けるには、最低限の生活に必要不可欠なものを除いて財産を処分することが求められる。その判断基準は時代と共に変わっており、今ではエアコンは生活必需品として所持が認められるが、自家用車はそうではない。よほどの事情がない限り、原則として処分を求められる。「生活保護か、クルマか?」。通勤や幼児の送迎に自家用車を使っている生活に困窮する一人親世帯(多くが母子世帯)にとっては、究極の選択と言っていい。
2024年の厚労省「被保護者調査」によると、同年7月時点で生活保護を受けている母子世帯(母親と18歳未満の子の世帯)は5万8382世帯。2025年の総務省「国勢調査」によると、同年10月時点の母子世帯数(母親と20歳未満の子の世帯)は71万2132世帯。前者を後者で割ると8.2%。母子世帯の定義が分子と分母でやや異なる、母子世帯の生活保護受給率と見てもいいだろう。

<表1>は47都道府県のランキングだが、最も高い京都でも母子世帯の保護受給率は14.5%でしかなく、最も低い長野ではわずか2.3%だ。
母子世帯の年収中央値は200万円ちょっとで、低く見積もっても要保護の生活水準の世帯が3~4割はいるはずだ。母子世帯の生活保護受給率は、常識で考えられるレベルを明らかに下回っている。日本の生活保護の捕捉率の低さはよく指摘されるが、母子世帯ではそれが殊に顕著だ。