Nicole Jao Arathy Somasekhar Jarrett Renshaw

[ニューヨーク 21日 ロイター] - トランプ米大統領がロシアと結んだディーゼル(軽油)合意について、市場ウォッチャーやアナリストらはディーゼル価格を大幅に引き下げることはないとの見方を示している。約束された供給量が世界的な需給逼迫を緩和するには少な過ぎるためという。

イラン戦争を受けてディーゼル価格は過去最高値を更新しており、中間選挙を控えるトランプ氏と米共和党にとって政治的な足かせとなっている。

トランプ氏の動きを批判する向きは、ロシア産ディーゼルに対する制裁を解除すればロシアがウクライナ攻撃の資金源とする可能性があり、ロシアのエネルギー収入を抑制するために長年にわたり行われてきた取り組みを損なうだけでなく、消費者が救済をほとんど得られない一方で、ロシアが利益を得るリスクを高めると指摘している。

トランプ氏は、ロシアが直ちに30万トン(225万バレル)を輸出するとし、続いて11月に50万トン、「その直後」に100万トンを輸出すると明らかにした。アナリストらは、ロシアがこうした野心的な目標を達成するのに十分な余剰ディーゼルを短期的に生産することは不可能かもしれないとしているほか、世界のタンカー市場も逼迫しており、タイムリーな出荷を困難にする可能性があるとの見方を示している。

アナリストらは、発表された量ではディーゼル価格を大幅に引き下げることは難しいだろうとも指摘。米国のディーゼル小売価格は9月に史上初めて1ガロン=6ドルを突破し、それ以来その水準を上回ったままだ。

ケプラーの政策・地政学的リスク担当責任者ミシェル・ブルハード氏は、現在の市場で価格を大幅に和らげるには日量40万バレルの追加ディーゼル供給が必要だと指摘。しかし、約220万バレルの初回出荷量は、1カ月に分散して供給された場合、日量わずか約7万3000バレルに過ぎない。同氏は、この供給量だけでは世界のディーゼル価格に大きな影響を与えることはないだろうと述べた。

コンサルティング会社バリンガのリードエコノミスト、カスピアン・コンラン氏は、価格を直ちに軟化させるには、市場に日量85万バレルの追加供給が必要になるとの推計値を示した。

トランプ氏は当初、燃料価格の引き下げを支援するため、ロシアが直ちに米国と世界市場にディーゼルを供給すると述べていたが、その後、ロシアの貨物は米国へ輸送されるのではなく、世界市場に放出されると発言。これにより、この合意が米国内の需給逼迫を和らげるかどうかについて疑問が投げかけられた。

ルビオ米国務長官は週末、「(ロシアの)プーチン大統領が販売しようとしていたディーゼルはいずれにせよ世界市場に供給される予定だった」と説明。「唯一の違いは、米国がどれだけの量を確保できるかという点だけだ」と語った。

ホワイトハウスのロジャース報道官は、「膨大な量の」ロシア産ディーゼルが世界市場に供給され、国内外の価格を下げるとトランプ大統領が表明しているとし、「大統領は米国だけでなく世界のためにも、引き続き良好な取引を成立させている」と述べた。

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