Jan Strupczewski
[バンコク 16日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は16日、欧州各国が公的債務を持続可能な水準に維持するには成長を加速させるか、借り入れを減らす必要があるとし、「何もしないという選択肢はない」と警告した。
IMFは13日、ユーロ圏の経済成長率について、4月時点と同じく2026年が1.1%、27年は1.2%と予想した。インフレ率は、26年が3.1%、27年が2.8%、28年が2.2%になると予測した。
IMFは「債務の持続可能性を保つには、欧州諸国の約4分の3で、成長を高めて歳出圧力を緩和する構造改革と、中期的に国内総生産(GDP)比で平均約3.5%に相当する財政赤字削減策を組み合わせる必要がある」と指摘した。
欧州連合(EU)全加盟国が欧州委員会と合意しなければならない「中期財政・構造計画」で予定されている財政再建規模はGDP比で平均約2%にとどまり、一部の国で必要とされる水準を下回っているという。
「スタッフの基本予測は、大半の国で財政再建が計画を下回ることを示しており、想定されている再建規模でさえ達成が困難となる恐れがある」と指摘。
「欧州諸国の約4分の1は、公的債務を持続可能にするためにGDP比で5%超の財政再建が必要となる。これは過去に実行可能と証明された水準を上回っており、政府活動の範囲を見直し、不足分を補うために民間部門の役割を拡大する以外に選択肢はない」と分析した。
欧州委が5月に発表した予測によると、EU全体の債務の対GDP比率は、25年末時点の82.8%から26年に84.2%、27年末までには85.3%へ上昇する見通し。ユーロ圏の比率も25年の88.7%から26年に90.2%に上昇し、27年には91.2%に達すると予測されている。
IMF欧州局長のマテウシュ・シュチュレク氏はロイターに対し、「高齢化、国防費増額、エネルギー移行など、欧州の大半の国が直面している長期的な歳出課題を勘案すると、政策変更がなければ欧州の平均的な経済において公的債務は大幅に増加し、現在の水準の最大2倍に達する可能性がある」と述べ、中欧の高成長国の一部では、この債務拡大のペースがさらに速くなる可能性があるとした。
「持続可能性の定義が(債務の)増大を止めて安定化させられるかどうかであるなら、財政面での対応と再建が不可欠だ」とし、「より早く動く方が常に対処費用は少なくて済む。着手が遅れるほど調整は難しくなる」と語った。
IMFは欧州の成長加速に向けた最大の障害は低水準の生産性だと指摘し、各国政府に対してEU域内市場の障壁を取り除き、技術革新(イノベーション)や事業拡大への投資を行うよう求めた。
「一定の改革に向けた取り組みが進められているものの、未完成のEU単一市場と各国の障壁が、企業の事業調整や規模拡大、より大きな市場へのアクセスを困難にしている」とした。
また、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を継続し、重要鉱物を含む世界的なサプライチェーン(供給網)の多様化を進めるよう呼びかけた。これらは全てEUが既に取り組んでいる政策方針となる。