薔薇色の大恋愛から一転し、どん底に落ちた結婚生活――。
現在スペインでライター、通訳、コーディネーターとして活躍する小林由季さんは、スペイン海軍の軍人と結婚して渡航したが、夫が不倫し、「死にたい」とさえ思うほど、つらい状況に追い込まれた。そこからどうやって立ち上がり、子どもを抱えながらプロの道を歩んだのだろうか?
この後編では、異国でシングルマザーとなった彼女が、世界トップレベルのスペイン料理の世界に近距離で関わるプロになるまで歩んできた足跡を追う。会社勤めの経験は皆無。スペインで若くして主婦になっていた小林さんが、離婚後、心掛けてきたこととは――。
*前編:東京で出会い、スペイン海軍の妻になった日本人女性…テロの恐怖、夫の不倫「殺されても本望」より続く。
「職人であれ」――離婚後に見つけた仕事の流儀
夫の不倫が発覚した当時、小林さんには自立できるほどの収入はなかった。しかし、心の平穏を最優先した彼女は覚悟を決め、離婚調停に踏み切る。途中、夫は復縁の申し出をしてきたが、それも断り、2年後に離婚が成立した。
ただ、スペインでは法律上、不倫は離婚原因を作った責任に当たらず、賠償金もない。小林さんは養育費の半分と自宅のローンを背負うことになり、経済的負担は重かった。
それでも彼女は「定収入のないフリーランサーなのにローンが組めたこと自体がラッキーだった」と前向きに捉える。結婚中に2人の名義で手続きを済ませていたのが幸いした。
こうして、翌月の収入も年末までの資金繰りも見えない中、小林さんはフリーランスの仕事を続けて今日まで歩んできた。
異国で幼い子ども2人を抱えながら、「貧乏でも悲惨でもない」生活を支えたものは何だったのだろうか。