11月3日の投票日まで1カ月を切ったアメリカの中間選挙。各地で激戦が続くが、なかでも注目を集めるのがミシガン州の上院選だ。民主党の現職議員が引退するので、空いた議席を共和党新人のマイク・ロジャース(63)と民主党新人のアブドゥル・エルサイエド(41)が争っている。
ロジャースはイラン戦争の早期終結を求めるなど、「トランプ離れ」を鮮明にして無党派層への浸透を図る。対して民主党内でも左派に属するイスラム教徒のエルサイエドは、なんとトランプ応援団のMAHAグループにまで触手を伸ばす。
MAHAは「メイク・アメリカ・ヘルシー・アゲイン」の略で、言うまでもなくトランプの掲げるMAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)のもじりだ。その中心人物はロバート・ケネディJr.。大のワクチン嫌いで、児童へのワクチン接種が自閉症を誘発するなどの非科学的主張を掲げつつ、2024年の大統領選ではドナルド・トランプを支持し、その貢献により保健福祉長官に起用された。
しかしMAHA運動を草の根レベルで支えるのは、子供たちの健康を本気で心配している母親たちだ。彼女たちはワクチンの接種義務に反対するだけでなく、食品に含まれる有害物質(残留農薬など)やマイクロプラスチックの規制強化も求めている。
ミシガン州民主党はそこに目を付けた。なにしろエルサイエド自身も、医学博士号を持つ疫学の専門家。「アメリカを今より健康な国に」というスローガンを掲げ、残留農薬を減らす、学校で提供するランチをもっと健康的なものにする、食の安全より利益を追求する農業ビジネスの横暴を許さないなどと訴えている。