東京でクラブイベントを行なっていた90年代の終わりごろ、名古屋のクラブまで出張し、同様のイベントを何度か開催した。
名古屋アンダーグラウンド・シーンの重鎮が仕切ってくれ、血気盛んな若手ヒップホップ・グループがライヴをやってくれたこともあり、そこから名古屋人脈との交流が深まっていった。
しかしその一方、多くの現地人(とくにヒップホップ人脈)に対して思うところもあった。「東京でもなく、大阪でもない」ロケーションのせいもあるのか、両都市に過度な対抗意識を持っているように見え、多少の違和感を覚えたのだ。
私は、尾張訛りを含めた“名古屋人っぽさ”には妙に共感できるものがあったので、なおさらそこが気になっていた。
『愛知県は天下を取るがね』(篠原 匡 著、新潮新書)の冒頭にある「名古屋飛ばし」という言葉についての記述に納得してしまったのも、そんな理由があったからだ。
この言葉は、海外の著名アーティストや東海道新幹線「のぞみ」の一部が名古屋を素通りしたことに端を発している。それ以来、愛知県民は自虐的に、それ以外の地域の人は半ばネタ的に「名古屋飛ばし」という言葉を使う。
都市としてのブランドイメージも決して高いとは言えない。(「まえがき」より)
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