Xinghui Kok

[シンガポール 14日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は14日、金融政策を予想外に据え置いた。人工知能(AI)ブームと供給制約が和らぎ、経済成長とインフレが鈍化する見通しを示した。

ロイターがまとめたアナリスト調査では、10人全員が引き締めを予想していた。底堅い成長とインフレリスクを背景に、追加引き締めの論拠が強まっているとみられていた。

MASは声明で「シンガポール経済は今後数四半期は堅調なペースで拡大を続け、その後はAIサイクルの例外的なペースが減速し、世界の金融状況が引き締まるのに伴い、成長が鈍化する見通しだ」と指摘。「コアインフレ率は、供給要因による輸入インフレが鈍化し、国内コストが引き続き抑制されるため、来年半ばから目に見えて緩和する見込みだ」とした。

OCBCのエコノミスト、セレナ・リン氏は今回の決定に驚いたとし、MASにとって際どい判断だったはずだと指摘。「重要なのはMASのコアインフレ率見通しだ。今後数四半期はやや高止まりするものの、供給要因による輸入インフレの鈍化と国内コストの抑制を背景に、27年半ばから一段と明確に低下すると予想されている」と語った。

MASは、シンガポールドル名目実効為替レート(SドルNEER)として知られる為替レートベースの政策バンドの実勢上昇率(傾き)を維持。政策バンドの幅と中心値の水準にも変更はないとした。

声明で「現行の政策バンドにより、SドルNEERは引き続き上昇し、短期的に見込まれる輸入インフレの加速に歯止めをかけることが可能だ。これにより2027年のインフレ圧力の緩やかな後退を確保できる」とした。

シンガポールドルは、MASの政策据え置きを受けて、1ドル=1.2802シンガポールドルとほぼ横ばいで推移した。

MASは7月、政策を「ごく小幅に」引き締め、市場を驚かせた。4月にも引き締めを行っていた。

同日発表された第3・四半期のシンガポールの国内総生産(GDP)速報値は前年同期比5.4%増加し、ロイターがまとめたエコノミスト予想の5.0%増を上回った。

9月に発表された公式統計によると、8月のコアインフレ率は2.2%だった。

MASは14日、コアインフレ率と総合インフレ率の予想を従来の1.5─2.5%から、それぞれ1.5─2%と2%に修正した。

メイバンクのエコノミスト、チュア・ハクビン氏は、金利上昇とK字型に二極化した労働市場が賃金コストの上昇圧力を抑え、MASに有利に働くと指摘。「MASが追加引き締めを行うかどうかはまだ決まっておらず、エネルギー価格とAI主導のブームの動向次第だ」と語った。

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