日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。
2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。
先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。
高齢化が進む社会では、介護を必要とする人の生活の質をどう守るかと同時に、介護する側の負担をどう軽減するかが問われている。入浴は、その2つの課題が交差する場面の1つだ。浴槽をまたぐ、湯船につかる、立ち上がる。身体機能が低下すると、こうした一連の動作が難しくなり、介助する側にも大きな負担がかかる。
積水ホームテクノの「介護・自立支援設備wells(ウェルス)」は、こうした課題に浴室という環境から向き合い、福祉施設や医療施設を中心に入浴空間を提供している。
「できない」のは身体なのか、環境なのか
この事業の原点は1987年、親会社の積水化学工業が高齢者配慮専門研究所を設立したことにある。年齢とともに変化する身体機能に配慮した住環境やバリアフリーについて研究を進め、国主導のシルバーハウジングプロジェクトにも参加。2000年の介護保険法施行に合わせ、介助される側だけでなく、介助する側にも配慮した介護・自立支援設備の開発・製品化を本格化した。以来25年以上にわたり、社会環境や介護現場の変化に対応しながら改良を重ねてきた。
その中で生まれたのが、利用者の身体状況の変化に合わせて浴室の環境を変えることができる「可変システム」だ。浴槽のレイアウトや手すりの位置を変更し、必要に応じてリフトを追加するなど、設備を導入した時点の状態に固定するのではなく、使う人の変化に合わせて調整できる仕組みだ。
「ヒトがモノに合わせる」のではなく、「モノがヒトに合わせる」。身体機能が変化したから入浴を諦めるのではなく、環境を調整することで、それまでの生活をできる限り継続できるようにする。この発想が、wellsの取り組みの核となっている。