<中国で最近、「国民の管理」と「資源の管理」を目指す法律が相次いで成立した。富裕層などを自由に出国させず、必要に応じて民間の施設や設備などを徴収・徴用できるようにするためだが、その目的は何か>
この秋、中国では2つの新制度が相次いで動き始めた。1つは9月15日に施行された「国務院の出入国管理に関する規定」。もう1つは10月1日施行の改正国防動員法。一見、別々の法制度だが、少し引いて眺めてみると興味深い共通点が浮かび上がる。
キーワードは、「人の管理」と「国内にある資源の管理」だ。つまり、これらの法律は中国の人とモノの全てを、国家による管理を高める方向に制度化した。
新しい出入国管理規定は、中国人の出入国の理由を厳格に審査し、仲介業者の登録・管理も徹底する。特に公職やエリート層の科学技術者・研究者、また富裕層に特別許可を要求し、簡単には国外へ出られないようにした。
一方、新しい国防動員法は、国家が国防動員を実施する場合、必要に応じて民間の施設や設備、交通手段、場所などを徴収・徴用できる。つまり、平時には民間に属する物資などの資源を、非常時には「ワンクリック」で一元管理し、最大限に調達・配分できるようになる。
これまで中国の富裕層や経営者の一部には、「国内で稼ぎ、海外にも資産を置き、必要なら家族と共に国外へ移る」という生き方があった。外国の永住権や国籍を取得し、資産を分散させることは、単なる投資戦略であると同時に、人生の逃げ道を確保する意味も持っていた。「裸官(ルオコアン)」という言葉もある。本人だけが身一つで中国国内の公職に就き、家族や資産は全て国外に移した官僚のことだ。
ところが、こうした人々の海外へと通じる「脱出ハッチ」は、今回の2つの新制度によってほぼ塞がれてしまった。