平凡な男の物語

デービッド・コープの脚本には、名高いロズウェル事件から、リチャード・ニクソン元米大統領が俳優ジャッキー・グリーソンに宇宙人の死体を見せたという都市伝説まで、宇宙人との遭遇をめぐる噂が満載。私たちが耳にしてきた空軍パイロットによる目撃談やUFO墜落の噂は全て真実だとほのめかしている。

1964年に撮影した長編『ファイアーライト』を含めれば、スピルバーグは高校時代から映画を通じて地球外生命体はいると訴え続けてきた。その信念を卓越した表現力で初めて形にしたのが、77年の『未知との遭遇』だった。

『ジョーズ』で空前の大ヒットを飛ばしたスピルバーグは、どんな映画も自由に撮れる立場にあった。そこで選んだのが、科学者たちが証明しようとしてきた宇宙人の存在を、ある日突然事実として知った平凡な男の物語だった。

リチャード・ドレイファス演じる電気技師のロイはUFOに遭遇し、自分が知ったことを言葉で伝えようと四苦八苦する。妻子は彼が正気を失ったと恐れをなして、家を出る。だがロイは意識が処理できるよりも深いレベルで、自分が何をすべきか、どこに行くべきかを理解していた。

話しているのは言語ではなく、数学